「さんこうあんにちじょう」は、HP「杉篁庵」(sankouan)の1頁です。
主にその日の庭の花の写真を掲載しています。
 
実万両

冬こゆる庭に紅白実万両 杉竹
万両の残るひとすみ鳥の影 杉竹
実万両啄む鳥の音を鳴きて思ひ乱るや面影の立つ 横雲

葉の陰の万両の実を探る刻振り向く影が瞼に浮かぶ やゑ

 

万両は、ヤブコウジ科ヤブコウジ属の常緑小低木で、葉かげに赤い実が集まってつき品もいい。正月の縁起物として飾られる。黄色や白い実をつける品種があり、黄実万両、白実万両と呼ばれる。

 

 万両に日当り一月も過ぎし 山口青邨
 万両の一房の実を楽しまむ 遠藤はつ
 万両の日にぬくみゐる我もまた 森澄雄
 万両や待つともなしに待つこころ 素人閑

【2018.01.22 Monday 06:43】 author : 杉篁庵主人
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冬木の芽

冬木の芽あしたの色の満たされて 杉竹
遠くから君の声して冬木の芽 杉竹
冬の木の芽や音もせぬ雨細く濡らせる恋の色のしるけき 横雲
あさまだき雨に濡れてる冬木の芽忍んだ恋の色に染まって やゑ

 

落葉樹は冬の間休眠しているように見えるが、小さな芽を育んでいる。それが確かな形となり、ふくらんでくると春は近い。
「冬芽・冬木の芽」が季語。
冬の暖かい日に木の芽や草の芽が出ていることは、「冬萌」という。

 

 しあはせを育ててゐるや冬萌ゆる 福山理正
 余世とはいつよりのこと冬木の芽 来住野臥丘
 晩年といふさびしさか冬木の芽 斎藤節

【2018.01.21 Sunday 06:26】 author : 杉篁庵主人
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寒卵

寒卵来るべき明日を色にして 杉竹
闇祓ひ妻の買い来る寒卵 杉竹
さりともと色に艶ある寒卵きみのうまきを頼みたまへり 横雲
寒卵割って朝餉は運だめし縁起かついで黄身をすすった やゑ

 

寒中の鶏卵を寒卵といい、滋養があるとされる。その中でも大寒に産まれた卵のことを「大寒卵」といい、子どもが食べると体が丈夫になり、大人が食べると金運が上がるとされ、縁起が良いものといわれる。
今年の大寒は今日1月20日。また、今日は二十日正月でもあり、いわゆる「正月」もこの日までのようだ。

 

 寒玉子割れば双子の目出度さよ 高浜虚子
 寒卵割りひとり旅ひとりの餉 大橋敦子
 七人の敵ある夫に寒卵 山田弘子

【2018.01.20 Saturday 07:46】 author : 杉篁庵主人
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日脚伸ぶ

背をそらし猫たち去りぬ日脚伸ぶ 杉竹
挨拶の声やはらぎて日脚伸ぶ 杉竹
冬の日のやうやう伸びて恋しきはつれなき人の遠き面影 横雲
影追えば日脚が伸びて辛い日が過ぎてだんだん近づく未来 やゑ

 

昼が最も短い冬至を過ぎれば昼の時間は僅かずつ伸びてくる。この日脚の伸びを実感するのは1月も半ばになってからのこと。冬木の芽もしだいにふくらみ、春が近づく喜びがただよう。

 

 日脚伸びいのちも伸ぶるごとくなり 日野草城
 日脚伸ぶ夕空紺をとりもどし 皆吉爽雨
 それぞれの樹々にある香や日脚伸び 那須辰造

 

【2018.01.19 Friday 07:33】 author : 杉篁庵主人
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寒土用

曇天に煙突孤立寒土用 杉竹
稚魚消ゆや絶滅危惧の寒土用 杉竹
曇天の寒の土用に入りし夜は枯れ野の果てに月さへ出でず 横雲
寒土用夕餉の鍋にいくつもの名のわからない野菜が並ぶ やゑ

 

春夏秋冬それぞれに土用はあるが、寒土用・冬土用は、立春の前18日間で、一年中で寒さの最も厳しい時期である。冬土用入は17日だった。

 

 寒土用悪相の魚ぶつた切る 恩賀とみ子
 白絹を裁つ妻と居て寒土用 北野民夫
 しろがねの富士に湯気立つ寒土用 村松ひろし

【2018.01.18 Thursday 06:09】 author : 杉篁庵主人
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寒紅梅

陽射し受く色や優しき寒紅梅 杉竹
床の間に据ゆるや香る寒紅梅 杉竹
寒紅梅八重に心をかさねつる昔のままに夢路辿らむ 横雲 
咲き誇る寒紅梅に若い日の思いを重ね染める夕色 やゑ

 

「寒紅梅」は、梅の一品種で、寒中に紅色の八重の花が咲く。「寒梅」同様冬のうちから花をつける梅で、「冬の梅」。「早梅」でもある。

「紅梅」は梅の傍題で春の季語。

 

 句が生れ倖せ生れ寒紅梅 高木晴子
 寒紅梅にごりて息の出でくるも 野澤節子
 寒梅の固き蕾の賑しき 高浜年尾
 寒梅や痛きばかりに月冴えて 日野草城

 

【2018.01.17 Wednesday 08:24】 author : 杉篁庵主人
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寒海苔

つるり食う酢の寒海苔や昼の宴 杉竹
寒海苔を掬へる指の白く見え 杉竹
小豆煮て寒海苔すする小正月うらうら過ぎて眠りや深き 横雲
どんぶりに満たした寒の海苔がある潮騒の香の朝のテーブル やゑ

 

苔は冬から春に掛けて採れるが出始めの頃の新しい干しのりは、「新海苔」という冬の季語になる。「初海苔」は新年の季語。「寒海苔」というと生海苔の印象が強い。
「海苔」は「青海苔・岩海苔・生海苔」など基本的には春の季語とされる。しかし、生海苔は立春前の寒中に採ったものが美味で旬である。
海苔干し場の景も冬の景と感ずるが、「海苔簀・海苔篊・海苔干す」は春とされている。
採れたての色のいい生海苔があったので買ってきた。

 

 一ト握りほどな寒海苔水垂らす 萩原麦草
 寒海苔を肴に酒はまだ飲むぞ 高澤良一
 もろもろの寒さ育てゝ海苔黒し 右城暮石

【2018.01.16 Tuesday 09:18】 author : 杉篁庵主人
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冬日向

嬉しさの浮かぶ舟池冬日向 杉竹
楼門の朱を朱に塗りて冬落暉 杉竹
振り返る大樹の中に冬の日のいだかるるごと朱に染まれる 横雲
新しい眼鏡に映る冬日向ピンクの白鳥波に煌めく やゑ

 

寒さは厳しいものの良い天気が続き、冬に特有の明るい日差しが降り注いでいる。
俳句では、「冬の日」は「冬の一日」のことで、太陽は「冬日」ということが多い。「冬日」の傍題に「冬日差・冬日影・冬日没(い)る・冬落暉」がある。
日曜日の不忍池にはボートが沢山浮かんでいた。

 

 亡き人の忘れてゆきし冬日向 三田きえ子
 雀らの来ぬ日もありて冬日向 片山由美子
 影よりも淡きわれ行く冬日かな 土橋たかを

【2018.01.15 Monday 07:04】 author : 杉篁庵主人
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寒九の水

顔洗ふ朝の敬虔寒の水 杉竹
ゴクリ飲む寒九の水の胃に沁みて 杉竹
きりきりと寒九の朝の水浴びて頼むになほもつれなき心 横雲
逢えないでしのんだ朝は透き通る寒九の水に願いをかける やゑ

 

寒に入って4日目を「寒四郎」、9日目を「寒九」と呼び、「寒の入り」の日とともに、小豆入りの餅を食べたり、身体が温まるような汁物や燗酒を飲んだりする風習があった。
今年は1月5日が「小寒」だったから、昨日13日が「寒九」だった。この日に汲んだ水は「寒九の水」といい、特別の水とされ、服薬に用いると特効があるとされた。日本酒の「寒仕込み」もこの日に汲んだ水で仕込むという。寒の時期は酒造りの最盛期でもある。この時期には寒さと乾燥のために、雑菌の繁殖が抑えられるため、この時期に汲んだ水は質がよく腐りにくことがあったのだろう。

「寒九の雨」は寒九に降る雨。豊作の兆(きざし)として喜ばれる。

 

 見てさへや惣身にひびく寒の水 一茶
 ひたひたと寒九の水や廚甕 飯田蛇笏
 身の内の闇を寒九の水流る 成田清子
 竹が竹打つ音を聴く寒九かな 鈴木太郎

 

【2018.01.14 Sunday 07:16】 author : 杉篁庵主人
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寒波

列島を真つ白にする大寒波 杉竹
居座りし寒波の欠片指先に 杉竹
朝霜の白く煌めく野にありて寒波の風の襲ふに任す 横雲
どこまでも見渡す限り真っ白であなたの町は寒波の最中 やゑ

 

九州から北海道まで、シベリア方面からの寒気団に覆われ、気温がぐっと下がって厳しい寒さに見舞われている。まさに「寒波来る」の感が深い。

 

 寒波急日本は細くなりしまゝ 阿波野青畝
 空よりも海の眩しき寒波来る 西村和子
 寒波来る星をいよいよ尖らせて 大坪蕗子

 

【2018.01.13 Saturday 07:37】 author : 杉篁庵主人
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