「さんこうあんにちじょう」は、HP「杉篁庵」(sankouan)の1頁です。
主にその日の庭の花の写真を掲載しています。
 
露草

露草や別れの言葉繰り返す 杉竹
別れ道露草の色かなしくて 杉竹
月草の色に濡れたり摺り衣うつるはやすき心ならずも 横雲
別れ路の心模様か秋の空露の細道露草の花 やゑ

 

貝の形の小さいがあざやかな青い花は、古くから染料にも使われてきた。目立たないが瑠璃色が鮮やかな可憐な小さな花で、 朝咲いた花が昼しぼむことが朝露を連想さ せることから「露草」と名付けられたという。
「月草 鴨跖草(つきくさ) ほたる草 かま草 百夜草 うつし花 青花 帽子花」ともいう。


万葉集の「つきくさ」は「鴨跖草、鴨頭草、空草、月草」と表記される。中国では花の姿が鴨の堅い足の裏ににているということから「鴨跖草(おおせきそう)」(跖はあしうら)というらしい。万葉人は花の形状と色から、鴨の丸みを帯びた頭と長い首を想い跖を頭に変え「鴨頭草」としたという。
「月草のうつろひやすく思へかも我が思ふ人の言(こと)も告げ来ぬ(大伴坂上大嬢)」(露草のように変わりやすいからでしょうか、私が想っているあの人がなんにも言って来ないのは。)

 

久しぶりの庵は草茫々、草刈機で咲いている花も一緒に刈ってしまう。

 

 露草や露の細道人もなし 正岡子規
 露草を面影にして恋ふるかな 高浜虚子
 露草の瑠璃はかなしや魯迅の碑 山口青邨
 青花を摘む奇怪な雲が湧き 波多野爽波
 二ひらの花びら立てて蛍草 松本たかし

 

【2017.09.20 Wednesday 07:59】 author : 杉篁庵主人
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秋明菊

颱風一過秋明菊の眩しくて 杉竹
秋明菊身の洗はるる今朝の色 杉竹
秋晴れて秋明菊にやどりたる影や手折らむあふよしをなみ 横雲
ひとつ咲く秋明菊に影偲び手荒く手折る逢えないままに やゑ

 

台風が過ぎて、秋明菊が咲き始めた。
名前にキクが付くが、キクの仲間ではなくアネモネの仲間である。京都洛北貴船に多くみられたことから貴船菊の名がある。花は紅色や白色がある。漢名は「秋牡丹」。

 

 鳶ひくし秋明菊の紅ひらく 柴田白葉女
 観音の影のさまなる貴船菊 阿部みどり女
 秋明菊死後の遊びを思いけり 山崎 聰
 菊の香や垣の裾にも貴船菊 水原秋櫻子

 

【2017.09.19 Tuesday 06:36】 author : 杉篁庵主人
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台風

颱風の二日をかけて通り抜く 杉竹
列島を辿る颱風本二冊 杉竹
夜もすがら野分の風のやまざれば花乱るるを思ひやるかな 横雲
台風があなたの街を過ぎてって朝のテレビに瓦礫と青空 やゑ

 

台風第18号が17日から18日にかけて連休中の日本列島を縦断している。
中国語の颱は英語のtyphoonの音訳字で、日本で颱風の表記が一般に通用するようになったのは大正時代からだという。それ以前は「野分(のわき)」。現在は「颱」の字が当用漢字に無いので、「台風」と書く。
(写真は野分に荒らされた今朝の庭に倒れていた「現の証拠」)

 

 台風の動きの遅々と夜に入りぬ 佐野 五水
 人生の台風圏に今入りし 高浜虚子
 颱風過しづかに寝ねて死にちかき 橋本多佳子
 颱風が押すわが列島ミシン踏む 小川双々子

 

【2017.09.18 Monday 08:35】 author : 杉篁庵主人
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水引の花

紅白の水引草に夜の風 杉竹
水引の露払ひゆく苑の道 杉竹
露ふかき水引草に風立つや乱れて涙袖にこぼるる 横雲
午さがりさびしく風に揺れながら露光らせる水引の花 やゑ

 

水引草は、タデ科の多年草で、初秋、卵形をした葉のそばから糸のような花梗を出して、たくさんの赤い小花を穂状につづる。白花の銀水引や紅白が混じった御所水引などがある。

 

 水引草ひとつがゆれるほどの風 藤村礼子
 水引をしごいて通る野道かな 赤星水竹居
 水引の花にはことに雨繊し 吉屋信子
 日の中の水引草は透(すけ)りけり 室生犀星

【2017.09.17 Sunday 06:46】 author : 杉篁庵主人
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蟷螂(かまきり・とうろう)

蟷螂ののそり振りあぐ鎌光る 杉竹
重き身を羽ばたかせ消ゆいぼむしり 杉竹
蟷螂の青き眼の見る秋の野は月の光を露に置きそふ 横雲
かまきりが見上げる空にうっすらと雲の合間を有明の月 やゑ

 

俳句では「蟷螂」とこみいった漢字で書かれることが多い。
「かまきり、とうろう、鎌切、斧虫、いぼむしり、いぼじり、祈り虫、拝み虫」という。頭は三角形、前肢は鎌状の捕獲肢となり、他の虫を捕えて食す。緑色または褐色。交尾が終わると雌が雄を食い殺すこともある。怒らせると前肢をかざして向かったり、ときには拝むような真似もする。「いぼむしり、いぼじり」は、カマキリがイボをむしってくれるという中国の故事から付いた名前という。

 

 蟷螂(かまきり)や露引きこぼす萩の枝 立花北枝
 打水や萩より落ちし子かまきり 高野素十
 コスモスを越えて蟷螂青天ヘ 阿部みどり女
 塵取を這ひ出してゆくいぼむしり 長谷川櫂
 子蟷螂生まれながらの身の構え 松永昌子

【2017.09.16 Saturday 06:12】 author : 杉篁庵主人
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金木犀

咲きそむや金木犀の香の仄か 杉竹
テイタイム金木犀の便りあり 杉竹
仄かにも色香こぼせる木陰には金木犀の巻き戻すこぞ 横雲
木犀は遥かに時を超えてきて巡った過去を香りに託す やゑ

 

金木犀は橙黄色の花。銀木犀は白色の花。九月、中秋のころに花をつける。花は小さいが香りは高く、庭木に広く用いられる。芳香は金木犀の方が強い。爽やかな風に漂う香りは、秋の深まりを知らせてくれる。
金木犀が咲いたという便りがあって、我が家はまだと思いつつ見上げるとかすかに匂う。木の奥にちらりと咲いているのが見える。あと何日で一斉に咲くのだろう。

 

 行きすぎて金木犀は風の花 木村敏男
 見えさうな金木犀の香なりけり 津川絵理子
 この恋も金木犀のせゐにせむ 仙田洋子
 金木犀これよりの日々矢の如し 中嶋秀子

【2017.09.15 Friday 05:49】 author : 杉篁庵主人
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秋暑し

振り返る仄かな匂ひ秋暑し 杉竹
風の無き秋暑に白き花咲きぬ 杉竹
秋日和といふには暑し空高み雲居恋しく影の色濃し 横雲
澄む空に二人で歩いた草原を思い出させる暑い秋の日 やゑ

 

如何にも秋とその涼しさを感じていたが、好天の日中は暑い。
秋旱(あきひでり)というほど好天が続いているわけでもないが、もはや秋たけなわで残暑という時期でもない。彼岸花も咲き始めているが、好天の陽射しは空気が澄むからか痛いほどに強い。

 

 秋暑し抱へて白き花ばかり 岩田由美
 道に干す漁網の匂ひ秋暑し 小路紫峡
 秋暑し頭の影を踏まれゐて 佐治英子
 足許に照り返すなり秋暑の陽 高澤良一

【2017.09.14 Thursday 07:22】 author : 杉篁庵主人
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秋思

この秋思鳥の行方に託せるや 杉竹
秋愁ひ堰切る涙潦(にわたずみ) 杉竹
ふく風を音に聞きける秋あはれうつろひゆくをながめ暮らしつ 横雲
衰年の秋思を風に託しても遠ざかってく影はせつない やゑ

 

秋思は、秋になって、心に何かを感じたり思ったりをすることをいう。春は春愁といい、秋は秋思という。それぞれの季節に芽生える鬱々とした気分ではあるが、春は軽はずみなあやまちを招くような心を感じさせ、一方、秋の気鬱は全身に覆いかぶさるような憂いを思わせる。秋の心と書く「愁」が物さびしい嘆きや悲しみを意味するのに対し、春の心と書く「惷」には乱れや愚かという意味があり蠢(うごめ)くに通ずるのもその感じをとらえている。
傍題に「秋愁、秋愁ひ。秋懐、傷秋、秋容、秋あはれ、秋さびし」
     
 この秋は何で年寄る雲に鳥 松尾芭蕉
 アクセル全開秋愁を振り切りぬ 能村研三
 人憎し秋思の胸に釘うちこむ 稲垣きくの
 この秋思断つべく海に足濡らす 北澤瑞史


 「秋思」 劉禹錫(772 〜 842)中唐
 自古逢秋悲寂寥 我言秋日勝春朝
 晴空一鶴排雲上 便引詩情到碧霄
古(いにしえ)自(よ)り秋に逢うや寂寥を悲しむも
我は言ふ 秋日は春朝に勝ると
晴空の一鶴 雲を排して上り
便ち詩情を引いて 碧霄(へきしょう)に到る

 昔から、人々は秋になるとその寂寥を悲しむが、私は春の朝よりも秋の日のほうが良いと言おう。
 晴れた空に一羽の鶴が雲をおしひらいて上っている、そして私の詩情を引き連れて青空に辿り着く。

 

【2017.09.13 Wednesday 08:31】 author : 杉篁庵主人
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秋風

爽籟に身を包まるる浅間かな 杉竹
完骨(みみせせ)に秋の風聞く山の朝 杉竹
つれなくもこぬ人を待つ夕暮の色なき風に月も染まれり 横雲
秋風に晒されている独り身を下弦の白い月が見ている やゑ

 

「秋風」の句は多い。
「秋の風、白風、金風、爽籟、風爽か、色なき風、風の色、素風」の傍題があげられる。
秋風を「色なき風」というのは、「吹き来れば身にもしみける秋風を色なきものと思ひけるかな」(紀友則・古今六帖)と「物思へば色なき風もなかりけり身にしむ秋のこころならひに」  (源雅実・新古今集)の歌にもとづいている。

 

 あかあかと日はつれなくもあきの風 松尾芭蕉
 山荘のけさ爽籟に窓ひらく 山口草堂
 あきかぜのふきぬけゆくや人の中 久保田万太郎
 ほろほろと酔うて色なき風のなか 田中湖葉

【2017.09.12 Tuesday 07:23】 author : 杉篁庵主人
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秋の空

一人見る二百二十日の空高し 杉竹
秋天や消えゆく雲を愁ひつつ 杉竹
澄む秋の色に染まれる身のうきを更にしれとや風の吹くらむ 横雲
スカートを靡かせている秋の晴風を掬って染まる老い楽 やゑ

 

澄みきった空に雲がゆったり浮かんでいるのが秋の空。
「秋空、秋天(しゅうてん)、旻天、秋旻」「秋高、天高し、空高し」「秋晴、秋の晴、秋晴る」「空澄む、清秋、澄む秋」「秋日和」「秋天下」と秋の空を表す語はおおい。
「秋の雲」、秋の空には、小さな無数の雲が疎らに、そして薄く広がっていることが多い。これを「鰯雲(いわし雲)、鱗雲(うろこ雲)、鯖雲(さば雲)」などという。
今日は二百二十日、薄雲が広がっている。

 

 雲流れ流れ消えけり秋の空 松根東洋城
 雲一つ秋空深く上りゆく 松本たかし
 秋の雲ちぎれちぎれてなくなりぬ 内藤鳴雪

【2017.09.11 Monday 07:02】 author : 杉篁庵主人
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