「さんこうあんにちじょう」は、HP「杉篁庵」(sankouan)の1頁です。
主にその日の庭の花の写真を掲載しています。
 
枯葉

佇めり枯葉一枚手に持ちて 杉竹
暮れなずむ街に雨降り枯葉散る 杉竹
冬きぬと蔦の枯葉に吹く風の淋しき音を哀しみにけり 横雲
約束は守られないで時が過ぎ枯葉を散らす風が哀しい やゑ
    .
草木いずれを問わず、冬に入っての葉の枯れた様、まだ枝に付いているものや落ちたものなどさまざま。枝に付いているものは風に乾いた音をたてる。青葉の時よりそれぞれの葉の形や厚みなどの特徴が際だつ。
類季語に「落葉」「木の葉」。

 

 一枚の枯葉に触るる風の音 稲畑汀子
 枯れ葉くるくる都会の好きなつむじ風 岩間民子
 枯葉舞ふ死にも悦楽あるごとく 林翔

【2017.11.19 Sunday 08:14】 author : 杉篁庵主人
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寒江

寒江や孤舟の翁起ちしまま 杉竹
寒江の群鳥飛ぶや空蒼し 杉竹
冬川にひとりうきねの鴛の夢さめはつや空の明けゆく 横雲
一人行く風が冷たい冬の川昨日の夢の続き見たくて やゑ

 

寒江は、「冬川・冬川原・氷江」などとともに「冬の川」の傍題で、冬のさむざむとした川。

 

 寒江の丸太置場に遊ぶなし 山口誓子
 冬川に出て何を見る人の妻 飯田蛇笏
 玄冬の川を見てゐることが旅 鳥居真里子
 ふりむけばもう居ぬ白鷺冬の川 橘昌代

【2017.11.18 Saturday 05:57】 author : 杉篁庵主人
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水鳥

水鳥の揺らるる波の光りけり 杉竹
遠き旅心に浮かべ浮寝鳥 杉竹
浪の上に睦み遊べる水鳥にうき身ひとつと音こそ泣かるれ 横雲
ちらちらと光が揺れて浮寝鳥逢えない人の夢が鬱勃 やゑ

 

「水鳥・水禽」は、水辺に棲息する鳥の総称。水鳥がもっとも多く観察できるのが冬。鴨、雁、白鳥、都鳥、鳰(かいつぶり)、鴛鴦(おしどり)など。水に浮いたまま眠っている鳥を浮寝鳥という。

 

 水鳥のおもたく見えて浮きにけり 上島鬼貫
 水鳥のしずかに己が身を流す 柴田白葉女
 水鳥や夕べの夢を浪の上 水田正秀
 さゞ波のいたづらめきぬ浮寝鳥 森田峠

 

【2017.11.17 Friday 09:16】 author : 杉篁庵主人
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山茶花

ほんのりと匂ふ山茶花朝の垣  杉竹
山茶花の散りて咲きたり雨の後 杉竹
山茶花の咲きてこぼるる小春日の垣穂に沿ひて思ふふる年 横雲
冬の日を浴びて山茶花散っている垣根に君の香り漂う やゑ

 

日本固有のツバキ科の常緑小高木で、枝先に白か淡紅色の五弁の花を開く。園芸種として八重咲きや濃紅・絞りなどもある。
「姫椿」が同意の季語で、「茶梅」はサザンカの漢名。

 

 山茶花に雨待つこゝろ小柴垣 泉鏡花
 山茶花の白きにそゝぐ小雨かな 島田青峰
 降り積もる歳月かなし山茶花も 仙田洋子

【2017.11.16 Thursday 08:03】 author : 杉篁庵主人
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手袋

ふわふわの手袋の欲し夕まぐれ 杉竹
雁がねを指す手袋に恋兆す 杉竹
夕まぐれ今をかぎりとたぎりつも手袋脱ぐや頬の冷たき 横雲
手袋を脱いでつないだ君の手は驚くほどに冷ややかだった やゑ

 

季語の「手袋」は、防寒用のものだけで、礼装用・職業上のものは季語として扱わない。 毛糸やトリコット、カシミヤ、皮革、ミトン、軍手など、様々な手袋があるが、そのどれもが悴んだ手を温める。傍題に「手套(しゅとう)」。
自転車に乗るとき、手袋なしだと辛い季節になった。

 

 手袋をぬぐ手ながむる逢瀬かな 日野草城
 手袋を脱いで握りし別れかな 川口松太郎
 漂へる手袋のある運河かな 高野素十

 

【2017.11.15 Wednesday 07:41】 author : 杉篁庵主人
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落葉

手を振つて落葉の道を人帰る 杉竹
黄落の止まざる庭に埋もれつつ 杉竹
枯れ積る落葉を濡らし降る雨の音やかそけく夜の更けにける 横雲
濡れている落葉を踏んで来る人を待って更けてく夜が淋しく やゑ

 

晩秋から冬にかけて、落葉樹はすべて葉を落とす。散った木の葉ばかりでなく、木の葉の散る様子も地面や水面に散り敷いたようすも「落葉」である。
先日「木の葉雨」を詠んだが。傍題に「名の木落葉・落葉雨・落葉時雨・落葉時・落葉掃く・落葉掻く・落葉籠・落葉焚く」などがある。「桜落葉・朴落葉・柿落葉・銀杏落葉」と個々に歌われもする。
「黄落」は、広葉樹が黄色く色づいて落ちること。「銀杏落葉」は銀杏の「黄落」。明るく散り敷いた銀杏落葉は、路上や神社の境内などを美しく染め上げる。「散紅葉・紅葉散る」は冬の訪れとともに色褪せ、やがて冬の風に散っていく紅葉である。紅葉の最中に散る「紅葉且つ散る」は秋の季語である。
今、落葉の盛り、掃いても掃いてもである。

 

 今朝掃いた庭とは見えぬ落葉かな 横井也有
 掃きけるが終には掃かず落葉かな 炭太祇
 落葉踏む一人の音を愉しみぬ 西村和子
 黄落激し亡びゆくものみな美し 楠本憲吉

 

【2017.11.14 Tuesday 07:36】 author : 杉篁庵主人
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七五三

鈴の緒にしがみつきたる七五三祝 杉竹
菊の香の包みて千歳飴甘し 杉竹
帯解きを祝へる朝に笑み零す幼きひとの健やかなれと 横雲
境内に落葉を踏んで飛び跳ねる七五三祝う子に風も遊んで やゑ

 

十一月十五日、男児の数え三歳と五歳、女児の三歳と七歳が神社に詣でて祝う行事。現在は15日に限らない。

「七五三祝」の場合は「しめいわい」と読む。

「千歳飴」は、七五三の縁起物の長い形状をした飴で、本来は親戚などへの配り物にした。「七五三」の傍題。
三歳の「髪置」や、初めて袴をはかせる儀式の「袴着」、付けひもをとって普通の帯を締める祝いの「帯解き」は関連季語になるだろう。

 

 一家族車より降り七五三 三須虹秋
 七五三の飴も袂もひきずりぬ 原田種茅
 祝詞聞く足を遊ばせ七五三 川原友江

【2017.11.13 Monday 07:00】 author : 杉篁庵主人
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冬の日

冬の日や妻と二人の木のベンチ 杉竹
冬の日の四時を迎ふる銀座かな 杉竹
冬の日の心もとなく暮れゆきてかれてつれなき恋を恨みぬ 横雲
冬の日が暮れていくとき重なった色葉に恋の影が濃くなる やゑ

 

季語「冬の日」は冬の一日の意でも使うが、冬の太陽を指す場合が多い。太陽をさす場 合は「冬日」という言い方もある。日差しを指すときは「冬日差」「冬日影」を用いることもある。暮れが早く、急かされるような冬の1日を惜しむ季語には「短日」がある。
天気予報で耳にする「冬日」は1日の最低気温が0℃未満の日をいう。
日比谷の菊花展を見て銀座をぶらついた一日は穏やかだった。

 

 冬の日の刈田のはてに暮れんとす 正岡子規
 どすんと冬の日が暮れ一人の獄は一人なり 橋本夢道
 冬の日と余生の息とさしちがふ 斎藤玄
 タンカーの曳きずつてゆく冬日かな 下田水心子

【2017.11.12 Sunday 06:33】 author : 杉篁庵主人
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枯蔓

枯蔓の残す葉朽ちぬ寺の裏 杉竹
絡まりて引けど動かぬ枯かずら 杉竹
色変はる蔦の枯葉ぞ風吹きて散りて朽ちたり夢路の闇に 横雲
願っても逢えないままに冬になり力任せに枯れ蔓を引く やゑ

 

「枯蔓(かれつる・かれかずら)・蔓枯る」は冬の季語。
類季語に「蔦枯る」がある。
瓜や豆類の枯蔓を取り除く「蔓たぐり・蔓切・蔓引」は秋。「青蔦」は夏の季語、「蔦・蔦紅葉・蔦の葉・錦蔦」は秋の季語、「枯蔦」は冬の季語。
蔓や蔦は樹木や塀などに絡まったまま枯れる。葉が枯れ落ちて蔓だけになった蔓は独特の模様を描き出す。枯蔦の這う洋館や山野の樹々は荒涼とした冬の姿そのもの。

 

 枯蔓の残る力と引き合へり 片山由美子
 ゆるやかに幹を縛め蔦枯るゝ 清崎敏郎
 枯蔦や明治の倉の赤煉瓦 加藤みさ子

【2017.11.11 Saturday 06:41】 author : 杉篁庵主人
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冬初め

半月の中天にある冬初め 杉竹
冬浅しつぶりて聞かむ遠き声 杉竹
半月のやがて沈める山の辺の梢は冬の初めなりけり 横雲
晴れ渡る初冬の空に月白く鳥の囀り朝に響いて やゑ

 

「冬に入る」につづく、冬に入ったばかりの頃が「冬初め」。街路樹の落葉が始まり、しぐれたかと思えば小春日和もある。「初冬(しょとう・はつふゆ)」「冬浅し・浅き冬」と同様の意味合意を持つ季語。「冬浅し」は秋から冬への季節の移り変わりに思いをこめる場合に用いられる。

 

 初冬に何の句もなき一日かな 正岡子規
 一木を断つと初冬の天に告ぐ 川島喜由
 托鉢の駅頭に立つ冬初め 西村和江
 冬浅し曲りてもまた海鼠壁 芝山吉宣

【2017.11.10 Friday 06:15】 author : 杉篁庵主人
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