「さんこうあんにちじょう」は、HP「杉篁庵」(sankouan)の1頁です。
主にその日の庭の花の写真を掲載しています。
 
青女・霜の声




心あてに折らばや折らむ初霜のおきまどはせる白菊の花 
これは、古今集にある凡河内躬恒の和歌。

さて、今日は全国的に冷え込んだ。
霜の知らせに、霜の句を詠もうかと、調べると「青女」という季語があった。

青女とは霜のことである。
「夜雨寄北」で名高い李商隠の詩にこの青女を詠ったものがある。

 「霜月」  李商隠
初聞征雁已無蟬  
百尺樓高水接天 (高=南=臺)
惱素娥倶耐冷 (冷=寒)
月中霜裏鬪嬋娟

初めて征雁を聞き 已に蝉無く
百尺の楼高く 水 天に接す 
青女 素蛾 倶に冷に耐え 
月中 霜裏 嬋娟を闘はす 

・青女(せいじょ):霜・雪を降らせる女神、霜の異称でもある。〔青女(あおおんな)は世慣れぬ若い女〕
・ 素蛾:嫦娥のこと(月によりて色白きゆえ)、天女、月の異称でもある。
・嬋娟(せんけん):あでやかな姿。
霜降る夜に皓々と照る白い月を眺めながら、月の光りと白い霜との仙女二人が妖艶の美を競っている姿を想像している。

月冴えてひそと降り来し青女かな
消え行くは偲ぶ想いか霜の花

季語にはなかなか味のある言葉がある。
「青女・霜の花」もそうだが、「霜の声」といった季語もある。霜の降りる時の音なき静けさを音に見立てた言葉で、冬の夜の空気が凍りつくような寒い夜の気配がひしひしと伝わってくる。

胸に置く手がやや重し霜の声 小林康
一粒の星生き生きと霜の声 国井忠志
灯を消せば歳月のこゑ霜の声 古賀まり子
小夜覚めし無明の闇に霜の声 小根山光子

更け行けば霜の声聞く三の月
「三の月」とは旧暦10月10日(昨日)の月。刈りあげの祝いなどとも呼ばれる。この日、田の神が山に帰るともいわれる。亥の子行事と混淆することも多い。この日の月は「中秋の月」、「後の月」に対して「三の月」と呼ばれる。「十日夜(とうかんや)」という、十日の月である。

【2010.11.16 Tuesday 15:02】 author : 杉篁庵主人
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月の夜は惜しむことなく月浴びて


昨宵はなんとか雨にならず、名月が見られた。少し赤い月だった。
中秋の名月・芋名月(いもめいげつ)にちなんで月の呼称を拾ってみた。

月をさす言葉には、薄月・煙月・烟月・朧月・月輪・月霊・月陰・太陰・陰宗・陰魄・玉輪・玉魄、玉盤・海月・佳月・寒月・暁月・月魄・皓月・孤月・細好男(ささらえおとこ)・残月・斜月・秋月・春月・月代・月人男(つきひとおとこ)・明月・名月・弦月・夕月・宵待月・宵月・有明月・暁月・おぼろ月・残月などがあり、
伝説を踏まえたもので、桂男(かつらお)・桂月・桂輪・桂窟・桂魄・桂蟾・玉蟾(ぎょくせん)・蟾魄(せんぱく)・蟾蜍・蟾宮・蟾窟・蟾兎・玉兎(ぎょくと)・月兎・陰兎・姮娥・嫦娥・姮宮・嫦宮・仙娥などがある。
幼児語で「ののさま」いうのもあった。
日を追っては、新月 ・朔・二日月・既朔(きさく)・三日月・繊月(せんげつ)・眉月・弓張月・半月・上弦の月・恒月(こうげつ)・破月(はげつ)・片割月・九夜月・十日月・十三夜月・小望月・幾望・名月・十五夜・満月・望月・三五(さんご)の月・十六夜(いざよい)月・既望・立待月・居待月・寝待月・臥待月・更待月(ふけまち)・亥中(いなか)の月・下弦の月・二十三夜月・二十六夜月・晦日月という呼び方がある。


盃を手に待つ月の出づる時

月を指し月を数えて月の夜

隠れ行く雲間の月を惜しみけり


【2010.09.23 Thursday 08:54】 author : 杉篁庵主人
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遠き日の思ひ親しき秋彼岸


墓の上に細き雨振る秋彼岸
秋彼岸夕べの雲の色薄く
曼珠沙華月下の畦に咲き競ふ

月は今日は見られそうだが、明日明後日の名月は雨になりそうな天気予報。今日が旧暦8月14日の「小望月(待宵月)」、明日が旧暦8月15日の「中秋の名月(芋名月)」。天文学の満月は23日の18時17分。このところは空を眺めやることになる。
月の見える縁などに、薄(すすき)を飾って月見団子・里芋・枝豆・栗などと御酒を供えて観月を楽しむ。芋名月(いもめいげつ)というのはこの里芋を供えることから言うのであろう。
この中秋の夜に雲に隠れて見えないことを「無月(むげつ)」、雨が降ることを「雨月(うげつ)」と呼んで、これも一つの風情としたよう。いずれにせよ秋の情趣の楽しめる頃である。


【2010.09.21 Tuesday 10:07】 author : 杉篁庵主人
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秋桜時空流離ふ恋に似て


コスモスを揺らせる風を身に浴びる

どの恋の揺れているやら秋桜

手に余るコスモス揺らす帰り道



【2010.09.20 Monday 17:06】 author : 杉篁庵主人
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水の辺に一枝色付く七竈


湿原の草色付ける道に立つ

秋薊風吹き抜くる湖畔かな

吾亦紅それぞれ揺れて日を浴びて

毒茸の色美しく夕暮るる



【2010.09.08 Wednesday 16:08】 author : 杉篁庵主人
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遠つ国の玉梓(たまづさ)来たり盆の月


今日は、旧暦の 7月15日。一般に「お盆」と呼ばれる「盂蘭盆」は初秋の満月の日に祖先の霊が子孫のもとを訪れて交流する行事が起源ともいうが、伝統的には、旧暦7月15日に祝われていた。現在はこれを旧盆といっている。新暦や月遅れで行われることが多くなっているが、地方によっては今もこの日に盂蘭盆会が営まれる。
盆の月とは、名月の一ヶ月前、つまり今日陰暦七月十五日の月で、その年の秋の最初の満月のこと。
また、昨日から處暑(しょしょ)である。二十四節気の一つで、この日から白露までの期間をいう。立秋 → 処暑 → 白露と季節は移っていく。
処暑は「暑さがやむ」の意味で朝夕の冷気が加わり涼風が感じられる頃である。


 夢醒むや愁ひ満ちたる月白し
 参拝の鈴音聞こゆ処暑の朝
 寂(せき)として処暑の朝餉に向かひけり
 荻の葉にそそ吹く風や処暑の朝
【2010.08.24 Tuesday 09:11】 author : 杉篁庵主人
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生者死者共にある日の盆暮るる


水撒けば逃ぐる蜥蜴は鉢の陰

分け合ひて送り団子を食しけり

霊送る提灯ほのか夕暮るる

珍しき人と出会へる墓参道

幼子の空蝉集む盆の道

お盆のお供えものは、13日が「お迎え団子(あんこのついたお団子)」、14日は「おはぎ」、15日は「そうめん」、16日は「送り団子」とあるサイトには記されていた。
これが、我が家では、13日が「お迎え団子」、14日は「お赤飯」、15日が「送り団子」でこれもあんこのついたお団子。「お盆」も15日が霊送りとなり、お盆の行事が終わった。





【2010.08.16 Monday 10:18】 author : 杉篁庵主人
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緑陰に老と幼児の遊び居て

息するも止めたくなりし劫暑かな

雲の峰刻々移る旅の窓

木の間より独り眺むる夏の空

高原の夕風涼し佇める

声遠し宵待草の続く道


【2010.08.05 Thursday 16:20】 author : 杉篁庵主人
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驟雨林を過ぎて日の影斜め

今日は大暑。やっぱり暑い。

大暑なり暑しといはず古書に逃ぐ

蝉しきり真昼の森に風はなし

食むことも忘るる愁ひ日の盛り

静まれる花を拾ひて汗拭ふ

野の道に帰るは一人油照り

囀りのおちこちありて風涼し

夕立の音に驚く午睡かな

涼たるは山雨林雲冷やの酒


山荘での生活はこんなもの。暑い昼間は部屋に籠ってさえいればなんとか過ごせるが、やはり外を歩き回ったりしたくなる。



【2010.07.24 Saturday 10:18】 author : 杉篁庵主人
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枕辺に春半月の影ほのか


 栞挿す春半月の酔ひ心地
 薄霞む春半月の香やほのか

昨夜は久しぶりに雲も少なく、半月というには膨らんだ十日の月が照っていた。
「十日の月」は特に十月十日の月をいい、「十日夜(とおかんや)」は旧暦10月10日に行われる収穫祭。
十五夜、十三夜のように月見は一般化していないようだが、しかし、春のこの月も趣がある。
【2010.04.25 Sunday 09:56】 author : 杉篁庵主人
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