「さんこうあんにちじょう」は、HP「杉篁庵」(sankouan)の1頁です。
主にその日の庭の花の写真を掲載しています。
 
はや今日から12月!(12月の呼称さまざま)



はやいもので今日からもう12月である。

旧暦12月を師走(しわす)または極月(ごくげつ、ごくづき)と呼んだ。現在では師走は、新暦12月の別名としても用いられる。
その由来は僧侶(師は、僧侶の意)が仏事で走り回る忙しさ(平安後期編『色葉字類抄』)からという平安期からの説があり、語義的な解釈として「為果つ月(しはつづき・一年の仕事の終りの月)」という説もあるという。
「臘月(ろうげつ)」という呼称もある。旧い年と新しい年を「臘でつなぎあわせる」という意味で、大晦日のことを「臘日(ろうじつ)」ということからという。

そのほか異名がいろいろある。
梅初月(うめはつづき)
弟月(おとづき)
親子月(おやこづき)
限月(かぎりのつき)
暮来月(くれこつき・くれこづき)
暮れ古月(くれこづき)
年積月(としつみつき)
春待月(はるまちづき)
三冬月(みふゆづき)
季冬(きとう)
晩冬(ばんとう)
余月(よげつ)
建丑月(けんちゅうげつ)
氷月(ひょうげつ)
暮歳(ぼさい)
暮節(ぼせつ)
厳月(げんげつ)
残冬(ざんとう)
黄冬(おうとう)
凋年(ちょうねん)
月窮(げっきゅう)
四極(しきょく)
大呂(たいりょ)
玄律(げんりつ)


 

【2010.12.01 Wednesday 10:36】 author : 杉篁庵主人
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「ガマ」と「カマ」と「カバ」



「蒲」の字の話である。


鰻の蒲焼(カバヤキ)の「蒲焼」とは、もと、ウナギを丸のまま縦に串刺しにして焼いたのが、蒲(がま)の穂に似ていたからだという。当初は鰻をチクワ状に巻きつけて焼いた蒲穂焼から発生したのが鰻の蒲焼という話だ。
この「蒲(ガマ古くはカマ)」は因幡の白兎の説話にでてくるあの植物の蒲である。川岸、池沼の浅い場所に自生する多年草草本で、ガマの花粉は生薬としては「蒲黄」(ホオウ)と呼ばれ傷の治療薬(収斂性止血薬)である。
音として、カマヤキがカバヤキに転じたのだろうか。
また、カマボコは、細い竹にすり身をつけて焼いたものが始まりで、蒲の穂の形に似てるから、また蒲の穂が鉾の形のようであるところから、蒲鉾となったと言われる。
カマの読みは、蒲田(カマタ)の地名で今も残る。
そういえば、宮部みゆきのSF小説に2・26事件を描く「蒲生邸(ガモウテイ)事件」というのがあった。
また、筑波山名物のガマの油はその口上では四六のガマ(ガマガエル)が「鏡の前におくと己の醜い顔を見て驚きタラリタラリと油を流す」と言う口上から、耳後腺および皮膚腺から分泌物の「蟾酥」(センソ)ともいわれるが、薬効としては外用傷薬の「蒲黄」とおなじである。どうも売り出しの口上に蒲を蝦蟇(ガマ)に転じて面白い話を考えたと思われる。

そのほかこの字は、
菖蒲(ショウブ)、蒲公英(タンポポ)にも使われ、蒲伏(ホフク)とはらばうの意味もある。
蒲色(カバイロ)とは、赤みの強い茶黄色である。



付録
尋常小学校唱歌 「大黒さま」
1 大きな袋を 肩にかけ
  大遒気泙 来かかると
  ここに因幡の 白兎
  皮をむかれて 赤はだか
2 大遒気泙蓮,△錣譴り
  「きれいな水に 身をあらい
  蒲の穂綿に くるまれ」と
  よくよく教えて やりました
3 大遒気泙痢仝世Δ箸り
  きれいな水に 身をあらい
  蒲の穂綿に くるまれば
  兎はもとの 白兎
4 大遒気泙蓮|だろう
  大国主の 命とて
  国をひらきて 世の人を
  たすけなされた 神様よ


蝦蟇の油売り口上
 サァーサァーお立会、御用とお急ぎで無い方はゆっくりと聞いておいで、見ておいで。
 遠目山越し笠のうち、聞かざる時は物の出方善悪黒白(あいろ)がとんと判らない。山寺の鐘がゴーンゴーンと鳴るといえども、法師来たって 鐘に撞木(しゅもく)を与えなければ、鐘が鳴るのか、撞木が鳴るのか、とんとその音色が判らない。
 さてお立会い、手前ここに取り出したる陣中膏は、 これ「がまの油」、がまと言ったってそこにもいる・ここにもいると言う物とは物が違う。
 「ハハァーン、がまかい、がまなら俺んとこの縁の下や流し下(もと)にゾロゾロいるよ」と言うお方があるかもしれないが、あれはがまとは言わない、ただのヒキガエル・イボガエル。何の薬石効能はないよお立会い。
 さて お立会い、手前のはこれ「四六のがま」。四六五六(しろくごろく)はどこで見分ける。前足の指が四本で、後ろ足の指が六本これを名付けて ヒキ面相は「四六のがま」だ。さぁーてお立会い、このがま何処に住むかと言うと、ご当地より はるか北、北は常陸の国に筑波の郡(こおり)、古事記、万葉の古(いにしえ)より関東の名山として詠われておりまする筑波山の麓、おんばこという露草・薬草を喰らって育ちます。
 さてお立会い、このがまからこの油を取るには、山中深く分け入って捕らえ来ましたるこのがまをば、 四面(しめん)鏡張りの箱の中にがまを放り込む。サァー がんま先生、己れのみにくい姿が四方の鏡に映るからたまらない。ははぁー 俺は何とみにくい奴なんだろうと、己れのみにくい姿を見て、びっくり仰天、巨体より油汗をばタラーリ・タラリと流す。これを下の金網・鉄板に漉き取りまして、柳の小枝をもって 三七は二十一日の間、トローリトローリと煮たきしめ、赤い辰砂(しんしゃ)にヤシ油、テレメンテーナ、マンテイカ、かかる油をばぐっと混ぜ合わせてこしらえたのが、お立会い、 これ陣中膏はがまの油だ。
 さてお立会い、このがまの油の効能はと言うと、疾、がんがさ、よう梅毒、ひび、あかぎれ、しもやけの妙薬、まだある、前にまいれば陰金田虫、後ろにまいれば脱肛(でじ)、痔核(いぼじ)、痔出血(はしりじ)、鶏冠痔(けいかんじ)の他、切り傷一切まだある。大の男が七転八倒、畳の上を ゴロン・ゴロンと転がって苦しむのがお立会い、これこの虫歯の痛み、だが、手前のこのがまの油をば、ぐっと丸めて歯のうつろに詰めて、静かに口をむすんでいる時には、熱いよだれが、タラリ・タラリと出ると共に、歯の痛みはピタリと止まる。
 お立会い。まだまだあるよ。刃物の切れ味をも止める。さてお立会い、手前ここに取りい出したるは、我が家に昔から伝わる家宝・正宗が暇にあかして鍛えたと言う代物である。実によく切れる。エイッ 抜けば玉散る氷の刃。
 ここに、ちょうど一枚の紙があるから、切ってお目に掛けよう。一枚の紙が二枚、二枚の紙が四枚、四枚の紙が八枚、八枚が十と六枚、十六枚が三十と二枚、三十二枚が六十四枚、六十四枚が一束(いっそく)と二十八枚。ほれこの通り 細かくよく切れた。ふっと散らせば、比良の慕雪か嵐山には落花の吹雪とござい お立会い。
 さてお立会い、これ程よく切れる天下の名刀でも、一度(ひとたび)このがまの油をば付ける時、たちまち切れ味が止まる。
 差し裏・差し表に付けまする。サァーどうだ、叩いて切れない、押しても引いても 切れやーしない。
 さてお立会い、お立会いの中に、「お前のそのがまの油というやつは、切れる物を、ただ鈍ら(なまくら)にするだけだろう」と言うお方があるかも知れないが、手前、大道商人はしているが、金看板は天下御免のがまの油売り、そんなインチキはやり申さぬ。このように、きれいに拭き取る時には、元の切れ味になる。 ハイ この通りだ。さわっただけでも、赤い血が、タラリ・タラリと出る。それでは、二の腕を切ってご覧に入れる。エイッ・・・・・。
 だが、お立ち合い。血がでても心配はいらない。なんとなれば、ここにがまの油の膏薬がござりまするから、この膏薬をば此の傷口にぐっと塗りまするというと、タバコを一服吸わぬま間にピタリと止まる血止めの薬とござりまする。これこの通りでござりまするで。
 さぁーてお立会い、お立会いの中に、それ程効き目あらたかなこのがまの油 いったい一貝いくらだろうと言うお方があるかも知れないが、本日は、はるばるご当地まで出張っての大安売り、男は度胸、女は愛嬌、山で鳴くのはホーホケキョ、清水の舞台からまっ逆さまに飛び降りたと思って一貝が二百文と言うところ、半額の百文ではどうだ。
 さあーどうだ、このようにがまの油の効能が分かったら、遠慮は無用だ。どんどん買ったり買ったり。



【2009.09.16 Wednesday 10:16】 author : 杉篁庵主人
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