「さんこうあんにちじょう」は、HP「杉篁庵」(sankouan)の1頁です。
主にその日の庭の花の写真を掲載しています。
 
春の宴

風解くを待ち春の宴うすあかり 杉竹
春の宴果てて夜風の身に染みて 杉竹
春の宴果てたる野辺の若草のわづかにみえし人を恋ふかな 横雲
かすみしく春の宴に集まった人それぞれの幸を数えて やゑ

 

新年会というのでもないがこのところ同窓会めいた宴がつづく。
動きはじめた春に老人たちも浮かれたくなるのだろう。
「春ごと」という季語がある。「春の事・事日・事祭・事追祭」ともいう。
陰暦2、3月から4月にかけて近畿・中国地方に広く行われる春の節日。日をきめて美食をする。一定の日を決めず雨降りの日に行う土地もある。
2月8日に行われる「事八日(八日節供)」の行事も「春ごと」に当たるのだろう。「事八日」に、無病息災を祈って食べる野菜たっぷりのみそ汁を「お事汁」という。

 

 宴はてゝ車呼ぶ也春の月 正岡子規
 ふんべつをこゝろに春の夜宴行 飯田蛇笏
 父ひそと泣くなと言いき春の宴 対馬康子

【2018.02.18 Sunday 06:53】 author : 杉篁庵主人
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旧正月

春節や街の一角にぎはへり 杉竹
いつしかと旧正月の来たるなり 杉竹
春聯に福寿和平の文字見えてこの世の様の良き日願へり 横雲
龍舞が追ってる玉を欲しがって少女が差し出す手に兎児爺 やゑ

 

「旧正・春節」
昨日(2/16)が、陰暦の正月元旦だった。現在では太陽暦がほとんどだが、農業や漁業に関しては陰暦を用いているところもあり、ところによっては今も旧正月を祝う。
春節は旧暦の新年であり、中国をはじめアジアのいくつかの国では伝統的な新年の祭として国の休日としている。

今年は立春より2週間近く遅れた新年である。

 

 隣りより旧正月の餅くれぬ 石橋秀野
 風強き旧正月の堤かな 八木林之助
 春節の赤から赤を泳ぎゆく 川崎美知子

【2018.02.17 Saturday 07:03】 author : 杉篁庵主人
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蕗の薹

庭隅に見つくや一つ蕗の薹 杉竹
蕗の薹開かぬ心指で突き 杉竹
春くればはつかに見えし蕗の薹もえ出る恋を君や知るらむ 横雲
枯草をわけて顔出す蕗の薹逢える気持ちが膨らんでいく やゑ

 

「蕗の薹・蕗の芽・蕗の花」。
蕗は、早春、新葉が出る前に根茎から卵の形をした緑色の花茎を出す。花茎は数枚の大きな鱗のような葉で包まれ、特有の香気とほろ苦い風味が喜ばれる。花がほうけたものを「蕗の姑」という。

 

 ほろ苦き恋の味なり蕗の薹 杉田久女
 探しあぐねし蕗の薹かも己かも 野澤節子
 みつけたる夕日の端の蕗の薹 柴田白葉女

【2018.02.16 Friday 07:45】 author : 杉篁庵主人
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垣繕ふ

繕ひし古庵の垣の竹青し 杉竹
破れ垣手入れ進まず日の暮れぬ 杉竹
我が家の繕ふ垣に匂ひ来ようらゝに照らす梅に花なし 横雲
出来合いをちょこっと切って組み立ててなんと手抜きの垣根の手入れ やゑ

 

いたんだ垣根を、雪が消えるころ修理する。「垣手入れ」とも。これも春の季語に入っていた。元来は北国の情景に用いられ、風雪にいたんだ垣根を春に修理することであるが、虚子に「古竹に添へて青竹垣繕ふ」とあるように春到来の庭仕事にも使われる。
二の午祭を前に古くなった竹垣を新たに組もうと思ったが、気力がわかず、出来合いを細工して取り付けて済ませてしまう。

 

 垣繕うことも根気の続くうち 高澤良一
 侘び住むや垣つくろはぬ物の蔓 室生犀星
 繕ひし垣に沿ひゆく女坂  谷いちろ
 野路行けば垣繕うてゐる小家 高浜虚子

 

【2018.02.15 Thursday 07:23】 author : 杉篁庵主人
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薄氷(うすらひ)

鳥たてる田の薄氷に陽の光 杉竹
薄氷や今朝も家居を定めたり 杉竹
薄氷を踏み砕きたき心して答へぬ汝を遠く呼びたり 横雲
望みない今日だとはいえ日はのぼる力を込めて薄氷を踏む やゑ

 

薄氷は、「うすらい、うすごおり、はくひょう」の読み方がある春の季語。
春浅いころの薄く張った氷、または、解け残った薄い氷。冬の氷と違い、消えやすいことから、淡くはかない印象がある。
水の上にうっすらと張った氷を透明な蝉の羽にみて「蝉氷(せみごおり)」と呼ぶがこちらは冬の季語。

 

 薄氷に絶叫の罅入りにけり 原雅子
 夢の端を踏むごとく踏み薄氷 鷹羽狩行
 薄氷のありとしもなく陽を映す 山口青邨

【2018.02.14 Wednesday 06:30】 author : 杉篁庵主人
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畦火

佇みて畦火ながむる人ふたり 杉竹
暮れ行けば畦焼の跡踏みてゆく 杉竹
春来たり畦火のけぶり棚引けり山辺のどけく風の吹くらむ 横雲
畦を焼く煙が薄く立ちのぼる遠くあなたの声が聞こえて やゑ

 

「畦焼く・端やき・畦火」は、「畑焼く」の類季語。
田畑の畦を焼くこと。畦の枯草を焼き 払って害虫の卵や幼虫を滅する。

 

 白日にひとすぢ煙る畦火かな 西島麦南
 減らす田と知りつつ畦を焼きにけり 大熊輝一
 畦焼きし火の香の消ゆるまで梳かむ 影島智子
 畦焼や奈良へ行きたしとふと思ふ 村山故郷

【2018.02.13 Tuesday 08:24】 author : 杉篁庵主人
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下萌

下萌や焼き残したる畦堤 杉竹
草萌えて交わす言葉の温かく 杉竹
萌えいづる草葉の色を濡らす雨ふりて忘れぬ涙なるらむ 横雲
下萌えの堤を行けば山裾に棚引いている野焼きのけむり やゑ

 

傍題「草萌・草青む・畦青む・下萌ゆる・草萌ゆる・土手青む・ 若返る草」
冬枯の中に春が立ちいつのまにか草の芽が萌え出る。下萌の「下」は「枯草の下」の意。下萌には、確かな春の訪れと厳しい冬を耐えた生命力が感じられる。草萌は草の芽吹きをあらわし草青むはやや春も深まり鮮やかな青さになっていくゆく様子をあらわす。

 

 下萌のそこらはこべらいぬふぐり 山口青邨
 下萌をふみて不思議に足軽き 富安風生
 憂愁のみなもと知らず草青む 相馬遷子
 滅入るほど草青みゐて死が近し 小倉涌史

【2018.02.12 Monday 05:45】 author : 杉篁庵主人
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犬ふぐり

誰もいぬ野に満ち溢る犬ふぐり 杉竹
いぬふぐりさやればころりこぼるるよ 杉竹
よく見れば下萌えいそぐ野に満ちてこぼるるほどのいぬふぐり咲く 横雲
指先に小さな青い花咲いてにっこり告げる春が来たよと やゑ

 

道端、土手、野原など至る所に咲く小さな青い花。
最もよく目にするオオイヌノフグリは外来種で、明治の初めころ日本に入ってきた。まだうそ寒い春先にいち早くこれが咲き出すと、春の訪れが感じられて、散歩が楽しくなる。

 

 いぬふぐり星のまたたく如くなり 高浜虚子
 犬ふぐり大地は春を急ぐなり 阿部みどり女
 いぬふぐりみちべに敷きぬわが来れば 山口青邨

【2018.02.11 Sunday 06:18】 author : 杉篁庵主人
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春浅し

田の先に人影遠く春浅し   杉竹
風のなき社のしじま浅き春   杉竹
光れるは田の面の氷聞ゆるは春浅き風思ひ出の声   横雲
まだ浅い春を探って枯草の陰に顔出す小花をひろう   やゑ

 

「春浅し」は、立春をすぎたのに、まだ春めいていない感じをいう。暖かいところでは梅が咲き、目白などが飛び交っているが、東北の日本海側などではまだ厚い雪覆われている。風も冷たく、時には厳寒のころの気温に戻ったりもする。雪の中から蕗の薹を見つけるのもこのころ。「浅き春、春淡し、浅春」。
「早春」よりも主観の入った季語になる。

 

   浅春の日は夢のいろ虹のいろ   柴田白葉女 
   春浅し空また月をそだてそめ   久保田万太郎
   老人といつしか言えて春浅し   北原志満子

【2018.02.10 Saturday 09:15】 author : 杉篁庵主人
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春待つ

山歩き春を待ちつつ数えつつ   杉竹
春を待つ小さき花の崖に咲く   杉竹
文なくも花咲く春を待つ日なり野辺に若草下萌えいそぐ   横雲
待つという知らせは来ない春を待つ日々が続いているというのに   やゑ

 

寒い中にも時折春の訪れを感じる頃、新しい季節を待つ気持ちが強まる。
「春待つ」は晩冬の季語ではあるが、寒波や大雪の報せにいよいよ春が待たれる。「春を待つ・待つ春・待春」が傍題。

 

待春か耐寒か石しづかにて 中嶋秀子
或日あり或日ありつつ春を待つ 後藤夜半
妄想を懷いて明日も春を待つ 佐藤鬼房

【2018.02.09 Friday 07:13】 author : 杉篁庵主人
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