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主にその日の庭の花の写真を掲載しています。
 
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春の草

春草を踏みて静かな里を出づ 杉竹
朝市の路の辺に満つ春の草 杉竹
しのぶればもゆる思ひに春草のいやめづらしき君が影かな 横雲
君を待つ心がもえて春の草かぐわしいから身体もうずく やゑ

 

「春の草」の子季語は「春草(しゅんそう・はるくさ)、芳草、新草、草芳し、草かぐわし」、関連季語に「下萌え・草萌」がある。
枯れ野に緑が広がってさまざまの雑草が萌え出てどこも色淡く、瑞々しくなる。その春の大地に萌えでた春の草。芹や蓬、虎杖 (いたどり)など食用になるものだけでなく様々の雑草がいずれもみずみずしく、やわらかく春の息吹に包まれる感がある。

 

「春草」といえば朱熹の「未覚池塘春草夢」の句が思い浮かぶ。まさに「少年易老学難成」のままに年を取ってしまったが、まだ覚めることなく「春草の夢」を追っていたいものと思う。

 

悲しくも美しい宋詞の一つといわれる李の詞がある。

 

  翳須 李
 別來春半、觸目愁腸斷。
 砌下落梅如雪亂、拂了一身還滿。

 雁來音信無凭、路遙歸夢難成。
 離恨恰似春草、更行更遠還生。

 

  清平楽
 別れ来て春の半(なかば)に、
 目に触るるや愁ひの腸を断てり。
 砌(みぎり)の下(もと)に梅の落(ちれる)は雪乱るる如くして、
 払ひ了(を)ふるも一身に還(ま)た満てり。

 雁来たるも音信凭(たよ)る無く、
 路遥かにして帰へる夢の成り難し。
 離れし恨みの恰(あたか)も春の草に似て、
 更に行き更に遠のくも還(ま)た生ぜり。

 

別れてからはやくも春も半ばになって、
目に触れるものが惹き起こす愁いではらわたが断れるよう。
石畳に梅の花の散りゆくさまはまるで雪が乱れ飛ぶようで、
散りくる花を払いのけてもまたすぐに全身を包む。
雁が届けるといわれる便りも頼ることはできなく、
遥かに離れていてあなたのもとへ帰る夢さえかなえられない。
別れの悲しみはまるで萌え出る春の草のように、
あなたがさらに離れ行きますます遠ざかって行ってもその愁はまた生じてくる。

【2017.03.08 Wednesday 07:37】 author : 杉篁庵主人
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