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主にその日の庭の花の写真を掲載しています。
 
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草餅

朝市の草餅食むやかぐはしき 杉竹
母娘して草大福を頬張れる 杉竹
緑濃き川の堤になりゆくや草餅食みてそぞろ行くなり 横雲
春雨があがって草が萌える色大福にして頬張ってみる やゑ

 

草餅の子季語には、「蓬餅、草の餅、母子餅、草団子、草大福」がある。
草餅は、蓬(よもぎ)の柔らかい新芽を餅に搗き込んで作る。高い香りと若草色が特徴で、蓬餅ともいう。
現代では草餅に用いされる草とは主に蓬であるが、古くは母子草(春の七草のゴギョウ)を用いて作られ、名称も母子餅(ははこもち・ほうこもち)とよばれていた。 餅に草を練りこむという風習は、草の香りには邪気を祓う力があると信じ、上巳の節句に母子草(漢名では鼠麹草(そきくそう)、黍麹菜(しょくきくさい))を混ぜ込んだ餅を食べる風習が、中国より伝わってきたものと考えられており、この風習は平安時代には宮中行事の一つとして定着していた。 江戸中期頃からは次第に蓬が材料にされるようになった。現在も地方によっては、母子草を使った草餅は作られているという。


蓬はキク科ヨモギ属、畦や草地に普通にある多年生草本で、群生して地下茎で増殖する。葉は羽状に分裂してキク科植物の特徴を良く示す。茎や葉の裏には密に絹毛があり白くなっている。この毛を集めて「もぐさ」を作る。このほかヨモギ酒やヨモギ風呂、せんじ薬など民間薬としても使われてきた。
ヨモギの名前の由来は、四方に根茎を伸ばして繁茂するという意味から、四方草(よもぎ)という説や良く燃えるということから善燃草(よもぎ)という説がある。葉裏の毛を集めたものが、燃え草という意味から艾(もぐさ)といい、それに葉がついて艾葉(がいよう)という漢名が生まれたという。


蓬餅と同様に餅に搗き込むものには、「蕨餅」がある。「桜餅」「椿餅」は葉で餅をくるんだもの、「鶯餅」は青きな粉(青大豆からできたきな粉)をまぶして仕上げ、形も鶯をかたどったもので、いずれも春を愛でる。「ずんだ餅」は 枝豆(未成熟の大豆)の餡。こちらは季が異なるようで仲秋の名月に供える習慣があるという。

 

 石蔵より野老(ところ)おこせたる手筥に、草餅入れて奉るとて
 花の里心も知らず春の野にいろいろ摘める母子餅(ははこもちひ)ぞ 和泉式部
 (石蔵から野老(山芋の一種)を贈ってくださった手箱に、草餅を入れてさし上げる時に(詞書)
   花の咲く里の情趣もわからないで 春の野に出てあれこれ苦労して摘んで母子草で作った草餅です)

 

 草餅や橋のたもとにして老舗 飴山實
 草餅を提げて江戸川堤かな 上田和子
 草餅や川ひとすぢを景として 鈴木真砂女
 まだ食へぬ赤子はをれど母子餅 森澄雄
 老いて尚なつかしき名の母子草 高浜虚子
 草餅のよもぎが言へり老けるなと 中山純子

【2017.03.10 Friday 08:52】 author : 杉篁庵主人
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この記事に関するコメント
「江戸中期頃からは次第に蓬が材料にされるようになった。」とのことですが、1604年の『日葡辞書』にはyomoguimochiと記されていますから、もっと早くから蓬に代わっていますよ。
| milk3 | 2018/03/09 7:12 PM |
コメントありがとうございます。
江戸初期には宮中行事ばかりでなく大分一般化していたということでしょうか。
| 庵主 | 2018/03/10 7:10 AM |
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