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 乙女心
深川不動



今朝の地井武雄の「ちい散歩」は日本橋あたりだったが、昨日に引き続き御徒町近辺を歩いた。昨日とはうってかわって街が活動していた。家内によればこちらは「じいさんぽ」だそうである。帰りに門前仲町で乗換だったので、深川不動と富岡八幡宮に初詣した。

さて、今日も李清照の一首。


 「點絳脣」  此首一作無名氏詞見《花草粹編》卷一
 蹴罷鞦韆、
 起來慵整纖纖手。
 露濃花女、
 薄汗輕衣透。


 見有人來、
 襪所金釵溜、
 和羞走。
 倚門回首、
 卻把青梅嗅。






  「點絳唇」  これも詞の形式名。
鞦韆(しゅうせん)蹴(け)り罷(お)へて、
起(た)ち來りて慵(ものう)げに整ふ手の纖纖(しなやか)さ。
露は濃くして花は痩せ、
薄き汗は輕ろき衣を透かすほど。

客人の來るを見るに、
襪(たび)を所(おさ)め、金の釵(かざし)を溜めて、
羞(はじら)ひし和(まま)に走(に)ぐ。
門に倚(よ)りて、首(こうべ)を回らし、
卻(かえ)りて青梅を把(にぎ)りて嗅ぐばかり。


この作品は、少女期のもので、来客は婚約者の趙明誠と思われる。彼女の恥ずかしがっている様とかつ夫を一目見たいと考える風情とが実に初々しい感情として歌われている。
逃げ出して、門のところに隠れて振り返えりながら、青梅を手に持ってその香を嗅ぐしぐさには乙女心がよく表わされている。少女の天真で浪漫的な可愛らしい中に幼い艶やかさを感じさせる情景と言えよう。




罷:(ブランコを蹴る=こぐのを)やめる。
鞦韆:ブランコ。「秋千」とも書く。
起來:降り立って。立ち上がる。
慵:ものうげに。
纖纖手:ほっそりした白い手。若い女性の手の形容。
花痩:(春の花はだんだんに散って)花が少なくなってきたこと。
薄汗:うっすらと汗ばむこと。
輕衣透:うすぎぬの衣服に(汗が・肌が?)透けてきた。
見客人來:人が来るのが見えた。「見客入來」の異本もある。
襪:たび。「襪(しとうず)《「したぐつ」の音変化》足袋のもと」
所`:ならす。おさめる。
溜:抜け落ちる。滑る。
和:・・のまま、・・ながら。「和羞」で羞じらいながら。
走:にげる。
倚門:門に寄り添って。門の陰に隠れて。
回首:振り返る。
卻:…してからその上で、あとで。かえって、反対に。やはり。
把:手に持つ、握る。ここでは掌にそっと包むように持っている様。







揺れるブランコこぎ終えて
物憂げ整ふ乱れ髪
露は濃くして花凋(しぼ)み
薄き衣(ころも)を透かす汗


君来たれるを見し時に
かざし抜くるも走り行き
はじらひしまま隠れ往ぬ
門(かど)に寄り添ひ垣間見(かいまみ)すれば
掌(て)に置く梅の青く香(かんば)し

【2007.01.09 Tuesday 18:52】 author : 庵主
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