「さんこうあんにちじょう」は、HP「杉篁庵」(sankouan)の1頁です。
主にその日の庭の花の写真を掲載しています。
 
桔梗

秋ちかう野は一靡き風に揺る 杉竹
ふくらめる白き桔梗の涙かな 杉竹
君愛(は)しと今朝を歓び咲きたるやきちかうのはなうすむらさきに 横雲
桔梗摘む女が去って秋の野は残照の中未来を閉じる やゑ

 

桔梗は、きりっとした輪郭、折り目ただしい花の姿には凛とした風情がある。紫を主とするが、白桔梗にも捨てがたい魅力があろう。秋の七草のひとつ。
「きちこう」ともいう。古今集の紀友則の物名歌、「秋ちかう野はなりにけり白露のおける草葉も色かはりゆく」は、初二句に「きちかう(桔梗)のはな」を隠している手の込んだ言葉遊びの歌。

 

 きりきりしゃんとしてさく桔梗哉 小林一茶
 紫のふつとふくらむ桔梗かな 正岡子規
 一度死ぬ再び桔梗となるために 中村苑子
 桔梗や男も汚れてはならず 石田波郷

 

【2017.08.10 Thursday 06:54】 author : 杉篁庵主人
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のろのろ台風

のろのろと台風進まず余波止まず 杉竹
台風のまっただなかのムービーメール 杉竹
風温き野分の名残り吹きたてて恋しき涙とめがたかりき 横雲
台風が過ぎても風はまだ止まず髪梳るのろのろの恋 やゑ

 

「颱風(台風)」は、北太平洋西部の熱帯海上、北緯5〜20度付近で発生し、最大風速が毎秒17.2メートル以上の熱帯低気圧。8月、9月に多い。秋の季語になる。「野分(のわき)」は、野の草を吹き分けて通る秋の強い風のこと。主に台風のもたらす風をさす。
なお、北西太平洋または南シナ海に存在し,なおかつ低気圧域内の最大風速(10分間平均)がおよそ17m/s(34ノット,風力8)以上の気象学的な「台風」は、4月に上陸した記録1956年4月25日があり、これは『春』、もっとも遅いのは1990年11月30日なので、これは冬にあたる。

 

 台風の動きの遅々と夜に入りぬ 佐野 五水
 台風過神も仏も手薄なり 新井智恵子
 颱風の名残の驟雨あまたゝび 高浜虚子

 

【2017.08.09 Wednesday 07:18】 author : 杉篁庵主人
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残暑

唇を漏るる言の葉残暑光 杉竹
干されたるシーツの白き残暑かな 杉竹
残暑避け猫の這入る木の下や風のまにまに西陽の漏るる 横雲
肌を刺す残暑の光共に浴び離れた距離を手繰り寄せてる やゑ

 

うんざりするほど進まない台風に大雨を警戒し、過ぎたのかまだなのかよくわからない。風はまだある。

この台風過ぎ去っても台風一過とはならず台風が残していった高温多湿な空気で不快な暑さに包まれるという。

「残暑」は、立秋を過ぎた後の暑さ。例年、八月いっぱいくらいは暑い日がつづく。いったん涼しくなった後で、暑さがぶり返すこともある。「秋分」までは「残暑」の期間というが、一般的には残暑見舞いは8月末まで。

 

 日めくりを剥ぎて只今より残暑 林 翔
 蝉はみな残暑残暑と鳴きゐたり 高澤良一
 荷くずれのような転た寝残暑かな 菅原俊夫
 かまきりの虚空をにらむ残暑かな 立花北枝

 

【2017.08.08 Tuesday 09:09】 author : 杉篁庵主人
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立秋

立秋の汗背を伝ひ雲遠し 杉竹
椅子白し風なきままに秋に入る 杉竹
つれなくも君の影なく渡る瀬の風の裏にや秋立ちぬらむ 横雲
今日からはもう秋ですというからに零れる汗に涼しさ探す やゑ

 

今日、立秋。二十四節気の一つ。文字どおり、秋立つ日であり、四季の節目となる「四立」(立春、立夏、立秋、立冬)の一つ。暦の上では今日から秋に入る。
実際には一年で一番暑いころであるが、「秋分」までは「残暑」の期間。この日より残暑見舞になる。朝夕の風音にふと秋の気配を感じるころでもある。
「秋立つ、秋来る、秋に入る、今朝の秋、今日の秋」

 

 そよりとも せいで秋たつ事かいの 上島 貫
 立秋のあるがままなる籐椅子かな 中村汀女
 小浅間の親雲小雲秋立つよ 角川源義
 秋立つや一片耿々の志 日野草城

 

【2017.08.07 Monday 06:17】 author : 杉篁庵主人
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夏の朝霧

空も地も霧に包まる夏の朝 杉竹

朝霧に道隠されて滝の音 杉竹

うつつよはおよづれごとの多くして迷ひ入りたる霧深き谷 横雲

鐘の音が聞こえていても君の手が迷いに誘う朝霧の夏   やゑ

 

朝霧は単独では秋の季語である。

ただ、夏の高原は濃霧に包まれることが多い。まだ夏のうちだが夏の終わりの霧も風情がある。

尚「およづれごと」は、「妖言」で「根拠のない,人を迷わすうわさ」のこと。

世の中はいよよ霧の中に迷い入る。

 

   朝霧が改札口を流れゆく 西村和子

   没け年のみ誌す墓碑銘夏の霧 猿橋統流子

   夏霧や馬のしづかな息青し 吉原文音

【2017.08.06 Sunday 07:26】 author : 杉篁庵主人
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向日葵

ひまわりの一本高くして真昼 杉竹
向日葵の動かぬ影や星ひとつ 杉竹
あふひてふ名を秘めたれば向日葵に恃む逢ふ日をいかに契らむ 横雲
約束が信じられそうそんな気にさせて咲いてるひまわりの花 やゑ

 

ひまわりはキク科ヒマワリ属の一年草。太陽の花。太陽に向かって花の向きを変えると考えて、この名がついた。夏の象徴の花である。夏、茎頂に花径十五センチほどのあざやかな花を咲かせる。内側の花びらがない花を筒状花、外輪に黄色い花びらをつけた花を舌状花という。種からは油が取れ、食用にもなる。「日車・日輪草・天蓋花」とも。

 

 向日葵や起きて妻すぐ母の声 森澄雄
 昏れてゆく向日葵の時を監視せよ 仁平勝
 向日葵やものゝあはれを寄せつけず 鈴木真砂女

【2017.08.05 Saturday 06:05】 author : 杉篁庵主人
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蝉時雨

雨止みてざぶり昼の湯蝉時雨 杉竹
蝉噪の森に迷ふや曼陀羅図 杉竹
夏衣うすしといへど蝉時雨あつき日中をふりまさるかな 横雲
人けない森をおおって蝉しぐれぬれそぼってる貴方の記憶 やゑ


蝉時雨は、蝉が多く鳴きたてるさまを、時雨の音にたとえていう語。夏の季語。
やかましく騒ぎ立てたることやくだらない議論をたとえる「蛙鳴蝉噪」という語がある。

 

 換骨奪胎蝉時雨また蝉時雨 伊丹さち子
 蝉時雨棒のごとくに人眠り 清崎敏郎
 蝉時雨わたし消されてなるものか 伊関葉子

【2017.08.04 Friday 06:19】 author : 杉篁庵主人
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避暑

避暑に来て風の音聴くテラスかな 杉竹
同じこと書いてまた消す避暑便り 杉竹
遠近に蝉の声する浅間裾木陰涼しき避暑地の真昼 横雲
火の山の暑さをしのぐ高原に明るく笑う君を呼びたい やゑ

 

夏の暑さを避けて、都会を離れ、海や山の涼しい地へ旅行をしたり、その地でひと夏を送ること。軽井沢などは、代表的な避暑地。「銷夏・避暑地・避暑の宿・避暑客・避暑期・避暑の旅・避暑便り・避暑名残」などが傍題。

 

 風に鳴るもののふえゆく避暑名残 片山由美子
 浅間の火避暑の人らの夜あるきに 石橋辰之助
 避暑に来て雲をながめの肱枕 森田峠
 雨空に手をつき出して避暑の人 岸本尚毅

【2017.08.03 Thursday 06:03】 author : 杉篁庵主人
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戻り梅雨

わが胸の嘆きの色や戻り梅雨 杉竹
戻り梅雨車窓風景見えぬまま 杉竹
上り来も峠蔽へる雲晴れずあかぬ嘆きの戻り梅雨なる 横雲
道端に微笑む花を濡らしてて戻り梅雨さえ恨めしくなる やゑ

 

「戻り梅雨」は、梅雨が明けたあとに、再び訪れる梅雨と同じような気象状態をいう。「返り梅雨」「残り梅雨」とも。
「送り梅雨」は梅雨が明ける頃に降る大雨のこと。激しい雷雨となることが多い。「早く梅雨が明けて欲しい」という願いが込められた季語である。

 

 戻り梅雨またも日記の日がとんで 角光雄
 山荘をもるる灯青き戻り梅雨 山本正樹
 妻にのみ憤りをり返り梅雨 石田波郷

【2017.08.02 Wednesday 07:16】 author : 杉篁庵主人
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溽暑

陰もなき道真直ぐの溽暑かな 杉竹
草むらに溜まる溽暑の沸き立ちぬ 杉竹
憑めこし宵になりてもむしあつくなれはまさらで恋もくるしき 横雲
夢つなぐメールの返事待ちあぐね溽暑の街に取り残される やゑ

 

溽暑(じょくしょ)は、梅雨も終わりごろの蒸すような暑さをいう。高温多湿の不快感は耐え難い。
漢字の字面からしておどろおどろしいが、「溽」の字は他でみることがない。「極暑・酷暑・炎暑」と、暑い夏を表現する言葉はいろいろあるが、この「溽」は字面と音になんともムシムシとした最上級の不快な暑さを表す感がある。漢語には「溽夏・溽热・溽露」の語が見える。溽露は「しげきつゆ」。

 

 骨の音させて溽暑の立居かな 大野林火
 ハンケチの折目崩れて溽暑来る 古川信子
 蓋あけし如く極暑の来りけり 星野立子
 仏眼と眼が合ふ溽暑暗くして 岸田優

 

【2017.08.01 Tuesday 06:16】 author : 杉篁庵主人
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