「さんこうあんにちじょう」は、HP「杉篁庵」(sankouan)の1頁です。
主にその日の庭の花の写真を掲載しています。
 
松過ぎ

松過ぎの句会に祝詞はなやげる 杉竹
松明ぎて十円切手貼る賀状 杉竹
祈るとも老らくの身に松過ぎてむなしくふれる昔恋しき 横雲
早々にもう松過ぎて立ちすくむ行くあてがない老らくの道 やゑ

 

「松の内」が過ぎての数日間のことを「松過ぎ・松明け」という。「松納め」の日は、だいたい関東は七日、関西は十五日。
正月飾りが外されて普通の生活に戻るが、すぐには正月気分が抜けずに、浮ついた気分で過ごしている頃。

 

 松過ぎて読むや賀状を叮嚀に 秋月すが子
 何するとなく松過ぎてしまひけり 那須乙郎
 松過の又も光陰矢の如く 高浜虚子

【2018.01.12 Friday 07:10】 author : 杉篁庵主人
| 俳句・和歌 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
鏡開き

七十路や鏡開きの薄化粧 杉竹
行く道の開かれていて鏡割 杉竹
姿見に老見る朝を嘆きつつ鏡開きのいそぎ始むる 横雲
お汁粉の餅割りながら振り返り出逢ってからの年を数える やゑ

 

餅を鏡の形にして、神に供えるものが「鏡餅」で、武家では男子が、正月に鎧や兜を飾り、その前に餅を供えた。これが具足餅である。女子は、普段使う鏡の前にそなえたとされ、それが鏡餅の由来という説もある。
その年の年神さまに供えた「鏡餅」を小さく割り、お汁粉などにして食べる行事が、「鏡開き」。元々は武家社会の行事で、具足開き(鎧や兜に供えた餅を雑煮などにして食べた)といった。そのため、鏡餅は刃物で切ると切腹のようだと手や木槌で割り、開くようになったことから、「鏡割り」でなく、「鏡開き」という。一月十一日にする地方が多い。

 

 三寸のお鏡開く膝構ふ 殿村菟絲子
 雀来よ鏡開きの屑撒かむ 三嶋隆英
 また過ぎぬ鏡開の一日も 百合山羽公

【2018.01.11 Thursday 07:38】 author : 杉篁庵主人
| 俳句・和歌 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
寒鯉

寒鯉のゆるりと抜けて水動く 杉竹
寒鯉の影追ひゆけば池ひかる 杉竹
雲映す池に寒鯉沈みゐて鰭ゆるらかに夢の中なる 横雲
松明けの静かな池に寒鯉は泳ぐでもなく午睡のさなか やゑ

 

寒鯉は、寒中に水中でじっとしている鯉、寒中にとれた鯉をいう。
鯉は寒くなると動作も鈍くなり、餌もとらずにじっとしているので釣りにくい。また、その味は寒中が一年じゅうで最も美味の為に特に珍重される。

 

 山動くかに寒鯉の動きけり 藤崎久を
 寒鯉や石ともなれず身じろぎぬ 但馬美作
 寒鯉の胴さやさやと触れ合へる 太田嗟
 寒鯉となりてゐたりし夢の中 片山由美子

 

【2018.01.10 Wednesday 06:34】 author : 杉篁庵主人
| 俳句・和歌 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
寒の雨

降り止まぬ寒の雨聴く夜の黙(もだ)し 杉竹
さざなみの池に影なく寒の雨 杉竹
夢さめて涙に濡れし片袖と老いの憂きねに寒の雨ふる 横雲
真夜中の寒の雨音聞きながら春の出逢いを企ててみる やゑ
    
寒の内(寒の入から立春の前日まで)に降る雨を「寒の雨」という。冷え込みがきつくなれば、雪に変わる雨である。寒に入って九日目の雨は特に「寒九の雨」と言われ、豊作の兆(そざし)として喜ばれる。「寒雨」は寒々と降る冬の雨。

 

 おもむろに鉄塔濡らし寒の雨 五十嵐研三
 湯ぼてりの人とゆきあふ寒の雨 桂信子
 寒の雨錫杖の列峰わたる 寺尾武雄
 死なばかゝる静夜にと思ふ寒の雨 青木健作


「小寒」から「大寒」を経て、「寒明(かんあけ)」まで春を迎える前のひと月ほどを「寒」「寒中」「寒の内」と呼ぶ。この「寒」のつく季語は多く、まとめてみると全てのジャンルにわたっていた。
【時候】寒土用 寒の入 寒の内 寒波 厳寒 三寒四温 小寒 大寒 寒四郎 寒九
【天文】寒月 寒の雨 寒晴 寒九の雨
【地理】寒の水 寒九の水
【生活】寒灸 寒稽古 寒肥 寒声 寒復習( かんざらい ) 寒晒 寒施行 寒卵 寒厨 寒中水泳 寒造 寒搗 寒釣 寒乗 寒糊 寒弾 寒紅 寒見舞 寒餅
【行事】寒垢離 寒念仏
【動物】寒烏賊 寒鴉 寒鯉 寒蜆 寒雀 寒鯛 寒鮠 寒鮒
【植物】寒独活 寒木瓜

【2018.01.09 Tuesday 08:14】 author : 杉篁庵主人
| 俳句・和歌 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
福寿草

咲そむる古希の妻への福寿草 杉竹
日溜まりに芽吹き未だし福寿草 杉竹
古希迎ふ妻誕生の朝うらら福寿草(さちぐさ)の歌詠みて祝へり 横雲
鉢植えの福寿草咲きはじめてて誕生の日を祝う黄の色 やゑ

 

福寿草は元日草ともいわれる正月の花である。しかし、これも旧暦で名付けられているから一般的な開花は二月に入ってからになる。
そこで、新暦元日に咲くように栽培して、福寿草の花と南天の実とセットで「難を転じて福となす」という縁起物の飾り付けがされて売られる。
「さちぐさ」とも言う。

 

 朝にほふ緋氈の上に福寿草(さちぐさ)の含(ふふ)める鉢を移し置きけり 吉野秀雄
 妻の座の日向ありけり福寿草 石田波郷
 膝もとの日の明るさや福寿草 松本たかし
 美しき老にありたし福寿草 串上青蓑

【2018.01.08 Monday 07:04】 author : 杉篁庵主人
| 俳句・和歌 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
人日(じんじつ)

人日の凍みとおる空雀飛ぶ 杉竹
吹きて食ふ七草粥や朝の老い 杉竹
ゆくりなく生きむと思ふ人日のあした新たに祈りたるかな 横雲
突然に新たな思い湧いてきてあなたに逢う日が近い気がする やゑ

 

人日は、中国から伝えられた五節供(五節句)の一つ。五節句は、(人日(正月7日)・上巳(じょうし)(3月3日)・端午(たんご)(5月5日)・七夕(しちせき)(7月7日)・重陽(ちょうよう)(9月9日) )。
人日に「七草粥(ななくさがゆ)・七日粥」を食べて無病息災を願う風習がある。これは、中国の「七種菜羹(ななしゅさいのかん・7種類の菜が入った吸い物)」や、十五日に食していた七種類の穀物で焚いた「七種粥」とが、年の初めに雪の間から芽を出した若菜を摘む「若菜摘み」の風習が結びついたものという。「七草爪・七日爪」という初めて爪を切る日でもある。

 

 人日やふところの手が腹を掻く 鈴木鷹夫
 人日の粥さみどりに噴きこぼれ 田中俊尾
 人日や雀一羽の枝のたわみ 大澤保子
 気がつけば今日七草ぞ寝正月 清水径子

【2018.01.07 Sunday 08:16】 author : 杉篁庵主人
| 俳句・和歌 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
初詣

初詣新たに作る朱印帳 杉竹
初詣巡り巡りて腰痛し 杉竹
神垣をあふぎて祈る新玉の年のはじめのいやさかの声 横雲
掌を合わせ祈る御堂に響いてる読経の声に淑気が満ちて やゑ

 

初詣は、もともとは産土詣や恵方詣から始まった行事であるが、今では信仰する社寺や著名な社寺に詣でることが多い。傍題は「初参・初社・初祓・初御籤」。
歳徳神がいる方向を陰陽道で恵方といい、その年の恵方に当たる社寺に初詣することを「恵方詣」といった。これの傍題には「恵方拝・恵方・吉方・兄方・得方・元方・明きの方・恵方道」がある。戊戌の今年の恵方は「戊(つちのえ)」、巳(5時)と午(6時)の方向の間で、165度・南南東微南(ほぼ南)になる。今年の恵方巻きを食べる向きである。
初詣は、例年、除夜の鐘の中、0時になると隣の神社をはじめとして2社3寺を巡っていたが、今年は眠いのと寒さに負けて無理せず、日が昇ってからにした。家の神棚・荒神・稲荷・仏壇に挨拶した後、暖かい元日だつたから、墓参りも兼ねて近くの3社11寺+馬頭観世音塔を巡った。


昨日は赤坂に出て義兄に朱印帳の初頁に揮毫してもらった。

 

 願ふより謝すこと多き初詣 千原叡子
 恵方にはかかはりもなき初詣 岡安仁義
 恵まれし寿をかしこみて初詣 富安風生

 

【2018.01.06 Saturday 06:08】 author : 杉篁庵主人
| 俳句・和歌 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
北風(きた・きたかぜ・ならひ)

あらがへば北風(ならひ)まともに顔に受く 杉竹
北風強く社の紙垂を吹き飛ばす 杉竹
さえわたる月夜の北風(ならひ)あやにくに人恋しきとなほすさぶかな 横雲
連絡の取れないままに北風が背中を押して忘れろという やゑ

 

北風は、冬、中国やシベリヤから吹いてくる乾燥した季節風。「朔風・北吹く・大北風・朝北風」が傍題。
俳句では北風と書いて「きた」とも読ませるが、もとは漁師や猟師言葉から出たものらしい。これは春の東風を「こち」、夏の南風を「みなみ」、秋の西風を「にし」と言うのと同じである。
なお、「青北風(あおきた)」は十月頃吹く強い北風で、秋の季語。「盆北風」も秋。「 春北風(はるきた・はるならひ)・黒北風」は春。
今日5日から寒。寒の入りの「寒風」である。これを傍題にする「冬の風」は別の季語とされ、その他の傍題に「冬風・風冴ゆ・凍て風」がある。

 

 北風寒しだまつて歩くばかりなり 高浜虚子
 北風の身を切るといふ言葉かな 中村苑子
 北風となり残照消ゆる隅田川 山本つぼみ
 寒風の土へ掘り出す紅かぶら 福田甲子雄

 

【2018.01.05 Friday 06:22】 author : 杉篁庵主人
| 俳句・和歌 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
水仙

水仙を活けたる部屋の薄明かり 杉竹
水仙の秘かに夢を見る如く 杉竹
水仙の黄色を揺らし過ぐる風君が心を思ひそめてむ 横雲
吹く風は遠くの君を染めるよう水仙の花揺らし続ける やゑ

 

水仙はヒガンバナ科。日本古来の植物と思われがちだが、元々は地中海沿岸の原産で、大昔に中国経由で我が国に伝わって来たものだという。寒中に咲く花として印象的なことから、「水仙」、あるいは「水仙花・雪中花・野水仙」と言う場合は冬の季語。

俳句では、春先に咲く、花びらの黄色い「黄水仙」、「ラッパ水仙・口紅水仙・房咲水仙」など、春に咲く水仙を春の季語とするには「○○水仙」とフルネームで詠む。

 

 水仙を一茎挿せば足る小壺 吉屋信子
 一茎の水仙高き書斎かな 大久保橙青
 次の間といふうすやみの水仙花 鷲谷七菜子

【2018.01.04 Thursday 07:17】 author : 杉篁庵主人
| 俳句・和歌 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
三日

盆梅のゆるゆる緩む三日かな 杉竹
変わりなく三日となりぬ老の春 杉竹
あらたしき年の三日になりにけりまどかの月の影ものどけし 横雲
うらうらと正月三日の陽に溶ける水仙の黄にあなたの影が やゑ

 

正月三が日の終わりの日である。俳句では単に「三日」と詠んで正月三日をいう。

 

 元日二日ことに三日の日和かな 高橋淡路女
 懐手三日の客の波郷かな 桐生あきこ
 又もとの二人となりて三日果つ 加藤あき江
 独り身や三日の朝の小買物 高橋淡路女

【2018.01.03 Wednesday 08:17】 author : 杉篁庵主人
| 俳句・和歌 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |