「さんこうあんにちじょう」は、HP「杉篁庵」(sankouan)の1頁です。
主にその日の庭の花の写真を掲載しています。
 
批判の弱さは危機的

↑3月30日(日)の「しんぶん赤旗」より


今日の「ちい散歩」は行徳だった。
妙典から野鳥観察舎までの行徳案内、うまくまとめられていた。
コースは妙典駅を出発、徳願寺から田中邸、中台の神輿作り(これはなかなか面白かった)、マルエツ前の商店街、行徳駅前公園のミニSL、福栄公園から御陵場の野鳥観察舎を回るコース。
撮影は9日の日曜日だったのだろうか。
晴れたらカワセミを見に行くか。



さて、中教審に諮問もせず、一部意見を聞き入れて告示直前に修正しての学習指導要領について、
03.28 のブログ「新学習指導要領、異例の修正」の追加補足。
「修正」は、「総則」に道徳教育の目標として「我が国と郷土を愛し」との文言を加え、小学校音楽で君が代を「歌えるよう指導する」と特記するなど愛国心教育をより強調する修正を加え、各学校は「これら(教育基本法と学校教育法)に掲げる目標(愛国心などの「徳目」)を達成するよう教育を行う」が追加され28日付で告示された。
中教審が抑えた表現にしていたものを文科省が露骨にしたということ。3年越しの改定作業での議論はないがしろにされている。


東京・中日新聞社説「学習指導要領 疑念ぬぐえぬ道徳強化」を03月28日のブログで転載したが、その後社説で取り上げたのは地方紙ばかり、中央紙は批判も出来なくなっているのか。
見出しを転載。


岐阜新聞社説 3月28日
学習指導要領告示 公教育をもてあそぶな


高知新聞 3月29日
【新学習指導要領】公開審議が軽視された


信濃毎日新聞社説 29日(土)
指導要領告示 ルール無視の修正だ


山陽新聞社説 3月30日
新学習指導要領 強引さ感じる愛国心教育


秋田魁新報社説 3月30日
新学習指導要項 修正は露骨な政治介入


産経新聞【主張】
新指導要領 国歌を「歌える」のは当然


北海道新聞社説 3月30日
学習指導要領 議論もなしに修正とは


京都新聞社説 3月30日
新学習指導要領 密室での修正は問題だ


愛媛新聞社説 3月31日
新学習指導要領 透明性を欠いた文科省の修正

【2008.03.31 Monday 11:40】 author : 杉篁庵主人
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新学習指導要領、異例の修正

 朝日新聞より


道徳教育とはなにか。
社会性を身につけることである。
社会性とは、社会生活を営む素質・能力をいうが、その社会とは家庭から地域社会・国・国際社会まで人間が形成する集団である。
社会性のなかには、確かに、共同体・国への帰属意識も含まれよう。それを「愛国心」と呼ぶかどうか、「愛校心・愛社心」が死語になるとき、「愛国心」だけを叫んでも意味は無い。
なぜ死語になっているかといえば、その帰属意識の中に隷属意識を潜ませるからである。その言葉には、自立や愛を唱えながら、隷属を強いる胡散臭さがあるのである。
「愛」が強いられるときは隷属を強いられるときである。「愛」がいかに生まれるかを見つめれば、強いるものでないことはわかることだ。
国とは人々が生きやすい社会を作るシステムの一つである。その認識の上で、自らの生きる国の有り様を考えることが「愛国」ということであう。国に隷属する意識を植え付けることではない。



朝日新聞
指導要領、異例の修正 「愛国心」など追加
2008年03月28日06時15分
 渡海文部科学相は28日付の官報で小中学校の改訂学習指導要領を告示する。告示は改訂案とほぼ同じ内容になることが通例だが、総則に「我が国と郷土を愛し」という文言を入れ、君が代を「歌えるよう指導」と明記するなど内容が一部変わった。2月の改訂案公表後、1カ月かけて意見を公募。保守系の国会議員らから改訂案への不満が出ていたこともあり、文科省は「改正教育基本法の趣旨をより明確にする」ため異例の修正に踏み切った。
 修正は全部で181カ所。大半は字句の修正や用語の整理だが、総則に「これらに掲げる目標を達成するよう教育を行う」と挿入し、「道徳教育」の目標に「我が国と郷土を愛し」を加えた。
 小学音楽では君が代を「歌えるよう指導」とし、中学社会では「我が国の安全と防衛」に加えて「国際貢献について考えさせる」と自衛隊の海外活動を想定した文言を入れた。
 改訂案に対しては、自民党内から「改訂案が教育基本法の改正を反映していない」と早くから不満が上がっていた。八木秀次・高崎経済大教授が理事長の日本教育再生機構も同様の立場で、文科省に意見を送るひな型となる「参照用コメント」を公表していた。
 一方、中学社会の「北方領土が我が国の固有の領土」という記述には、韓国が領有権を主張している竹島も加えるよう要望が出ていたが、「政治的判断」(文科省幹部)から応じなかった。
 改訂案への意見公募は2月16日から3月16日まで実施され、計5679件が寄せられた。



毎日新聞
新学習指導要領:総則に「国と郷土愛する」、異例の修正−−きょう告示
 文部科学省は28日、2月に公表した小中学校の新学習指導要領改定案の総則に「国と郷土を愛する日本人を育成する」という文言を新たに盛り込み告示する。改定案公表後に総則という基本的な考え方を修正するのは極めて異例。文科省は「パブリックコメント(公募意見)などを踏まえ修正した。改正教育基本法の趣旨をより明確にする意見を取り入れた」と説明している。
 文科省によると、改定案公表翌日の2月16日から1カ月間、電子メールや郵便で意見を受け付け、5679件が寄せられた。「国を愛する心について総則に明記すべきだ」などの声があり、国会での議論、与党部会とのやり取りなども加味して修正したという。
 音楽で「君が代を指導する」が「君が代を歌えるよう指導する」になるなど軽微なケースも含めると、修正は181カ所(同様修正の重複除く)あった。
 改正教育基本法(06年12月成立)には「愛国心」表記が新たに盛り込まれた。新学習指導要領改定案では、愛国心について総則にはなかったが、国語や社会、道徳の部分で触れていた。文科省は「道徳の内容は教育活動全体を通じて行うと定めており、考え方は(総則に示しても)同じ」と説明している。
 新学習指導要領は、学力低下の批判などを受け、主要教科と体育の授業時間を約1割増やしたほか、学習項目など内容も理数を中心に約40年ぶりに増やした。【加藤隆寛】
 ◇「基本法改正の趣旨が生きる」−−文科相
 渡海紀三朗文部科学相は27日、「総則に(愛国心を)書いた方が教育基本法改正の趣旨が生きるとの意見があったので(修正を)判断した」と説明。「バランスを欠く意見は排除したつもり」と述べた。
 公募意見の過半数が50代以上だったことには「子を持つ世代から意見をいただくのが理想だが、たまたまそうだった」と話した。毎日新聞 2008年3月28日 東京朝刊




東京新聞
学習指導要領 君が代『歌えるように』 「愛国心」総則明記 直前変更きょう告示
2008年3月28日 朝刊
 文部科学省は二十八日付で、小学校で二〇一一年度、中学校で一二年度から実施する学習指導要領を告示した。二月に公表した改定案を一部修正し、学校の教育活動全体についての方針を示す総則に「我が国と郷土を愛し」の文言を新たに盛り込んだ。また、小学校音楽では君が代について各学年で「指導する」としていたのを「歌えるよう指導する」と変更した。いずれも議論を呼ぶ可能性のある事柄で、意見が反映される余地のない土壇場での変更が批判を呼ぶことは必至だ。 
 同省は「改定案公表後の与党からの意見や、一般公募で寄せられた意見を総合的に判断し、(愛国心などを新たに盛り込んだ)改正教育基本法の趣旨をより明確にした」と説明している。
 愛国心については、道徳に「国を愛する」、社会で「国を愛する心情」の記述があるなど、学習指導要領にはすでに盛り込まれてきたが、総則に記載されるのは初めて。教科横断的な道徳教育の中で、どういう日本人を育成するかという文脈で「我が国と郷土を愛し」の文言が加えられた。改定案の段階で盛り込まなかったことについては「長くなりすぎないようにしたため」などと説明している。君が代については、指導要領の趣旨や内容について詳しく説明する解説書には一九九八年改定時から「いつでも歌えるようにする」との記述はあるが、指導要領自体に「歌えるように」とは明記されていなかった。同省は「趣旨を明確にした。先生にはより意識して指導してほしいが、児童の成績などに反映するような変更ではない」としている。
 二月十五日の改定案公表後、与党内からは「教育基本法の改正が十分に反映されていない」などの声が上がっていた。翌十六日から一カ月間に、一般から電子メールや郵便、ファクスで寄せられた意見は五千六百七十九件。「社会科以外でも教えることを盛り込むべきだ」との意見がある一方「徳目を子どもに押しつける点で大きな問題」との意見もあった。




これを社説で取り上げているのは東京・中日新聞だけ。


東京・中日新聞社説
学習指導要領 疑念ぬぐえぬ道徳強化
2008年3月28日
 告示された新学習指導要領は原案よりも「道徳」が強化された。あってよい環境教育面の充実はみられず、慎重意見も多い武道の必修化はそのままだ。修正の仕方にバランスを欠いてはいないか。
 文部科学省は今年二月、幼稚園と小、中学校の次期学習指導要領について改定案を公表し、今月十六日までの約一カ月間、一般から改定案への意見を電子メールや郵便などで募っていた。そして、学習指導要領を告示した。
 指導要領はほぼ十年ごとに改定されている。今回は四十年ぶりに授業時間数と教える内容を増やし、小学校の高学年で新たに英語教育を取り入れることなどが主な特徴だ。
 これまでの「ゆとり教育」からの方向転換であり、国民から広く意見を募るのは当然の手続きだ。約五千六百件の意見が寄せられたという。多様な意見に耳を傾け、場合によってはただすことも妥当だろう。
 修正個所をみると、道徳にかかわる記述が目立つ。小、中学校とも「総則」の「伝統と文化を継承し、発展させ」が「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛し」などと変更された。
 小学校の音楽で「君が代」は各学年で「指導する」となっていたが「歌えるよう指導する」と加筆された。「外国語活動及び道徳」が「道徳及び外国語活動」に変わるといったこまやかな文言入れ替えもある。
 「総則」は学校の教育活動全体について方針を示す指導要領の根幹部分だ。改定案が修正、加筆されるのは異例といえる。同省は修正について「与党や一般からの意見などを総合的に判断した」と説明する。
 同省がまとめた一般意見の概要では「『国を愛する心』を総則に明記し、社会科以外でも教えるべきだ」との主張がある一方で「愛国心などの徳目を子供に押しつけるのは問題だ」という意見もあり、道徳の強化は必ずしも賛成ばかりではない。
 修正は、一般意見を反映させたというより一部与党議員の意見に従った、との疑念がぬぐえない。
 総則には「環境の保全」という言葉も加わったが、各教科での加筆はみられない。子供にとって環境教育は重要な課題だ。道徳並みに補強しないのはなぜか。
 一般意見からは中学での武道の必修化に「施設の整備が必要」「指導者確保に疑問」といった声が出ていたが、ほとんど黙殺されている。
 国民の意見聴取を名分に、与党の意を酌んで原案を変えるようなことがもしあるとするならば、「我が国を愛する」教育につながるとは、とても思えない。
【2008.03.28 Friday 11:40】 author : 杉篁庵主人
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憲法9条は平和運動や非戦思想の到達点



スポーツ報知>社会
司馬遼太郎賞に山室信一さん「憲法9条の思想水脈」
 第11回司馬遼太郎賞は27日、京都大教授、山室信一さんの「憲法9条の思想水脈」に決まった。賞金100万円。贈呈式は来年2月12日に行われる。
 授賞理由では「憲法9条は、世紀や国境を越えて脈々と流れてきた平和運動や非戦思想の到達点であることを、党派性を排した冷静な資料批判で検証した」と評価された。
 また司馬氏の作品にインスピレーションを得た調査、研究などを支援する「司馬遼太郎フェローシップ」には、上智大2年の堅田智子さん(19)と福島県立安積高常勤講師の小磯匡大さん(25)が選ばれた。奨励金各30万円。(2007年11月27日19時43分 スポーツ報知)



このニュースで何が評価されてかを書いているのは、スポーツ報知と日刊スポーツ。
他には、MSN産経ニュース が「憲法問題を人類の思想史の流れの中で考える際に貴重な示唆を与える」と記す。
夕刊フジが、「『憲法9条の思想水脈』では、9条が敗戦後、突如生まれたものではなく、幕末から世紀を越えて脈々と流れてきた平和運動や非戦思想の到達点であることを、冷静な資料批判で検証した。」としるす。


憲法9条は「人類の知的営みの歴史のなかで生まれてきたものであり、同時に戦争という国際的な政治力学のせめぎあいのなかで生まれたものであることは間違いない。とはいえ、それは単に占領期の偶発的条件によって生まれた突然変異にすぎないというものでもなかった。そこには持続と新生、与えられた面と自主的に選択した面、などの双面性が刻み込まれており、単に一方的に「押しつけ」られたなどとはいえないのである。そのように主張すること自体、日本人が発し続けてきた思想の「自主性」を自ら否定することであり、天に唾する所為にほかならない。」山室信一著『憲法9条の思想水脈』(朝日新聞社(朝日選書)1300円)より。


憲法9条の思想的背景を広い視野に立って語る本です。
憲法9条の先進性を世界に広める責務を負うことを日本人は誇るべきでしょう。
【2007.11.30 Friday 11:13】 author : 杉篁庵主人
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不登校&病気休職者

平成18年度生徒指導上の諸問題の現状(不登校)について(8月速報値)文部科学省


。横娃娃暁度の不登校小中学生は12万6764人。調査対象の1079万人の1.1パーセントを占めた。これは前年比3.7パーセント増で、増加に転じたのは2001年度以来5年ぶり。(文部科学省が9日に発表した「平成18年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」による)
∪鎖誓疾患で休職した教員の数は病気休職者に占める割合も59・5%と過去最高となった。病気休職処分が7,017人(前年度比709人増)このうち精神性疾患によるものが、4,178人(前年度比619人増)。この数字の背後には休職・退職に至らない膨大な苦悩する教員がいる。(文部科学省「平成17年度 教育職員に係る懲戒処分等の状況について」2006年12月16日発表より) 


この二つの数字の表れは、教育現場の混迷の現われである。生徒教員の個人に帰する問題ではない。
教育現場の苦悩は、深く生徒教員を蝕み、もはや責任を生徒個人や教員という職業に背負わせ続ける「対応策」は機能していないとみるべきである。
不登校をカウンセラーという個人対応では解消できず、また教員の慢性疲労状態を「改革」では解消できずむしろ増加させるばかりであることの証左である。
私の知るところでも教師は、肉体的な疲れにストレスが加わり、だれもがうつ状態になりかねない状態にある。かつての充実した職場環境が失われ殺伐とした中でその教育環境の変化に対応できない50歳代のベテランも孤立化し苦悩している。この状況で不登校対策が生まれるはずはない。
教員が楽しくなくて子供が楽しいわけがない。子供が楽しめなくて教員が充実するわけがない。
しかし、教育現場の混迷の真の原因を分析したものになかなか出会えない。退職者がうらやましがられる状況だけがますます加速している。



読売新聞2007年8月13日夕刊
親の理不尽クレーム 教師うつ病増加
 親の理不尽なクレームがきっかけとなり、精神を病む教師が増えている。医療機関の中には、うつ病などで休職に追い込まれた教師を復帰させるため、自らの体験を語り合う集団療法を試みる所も。精神科の医師は「悩む教師が現場で孤立しないよう、学校全体で保護者対応に取り組むことが大切」と訴えている。
 「保護者に絡むトラブルで診察に訪れる教師の割合は、3年前は全体の2割程度だったが、最近は半数近くにまで増加している」。公立学校共済組合の「関東中央病院」(東京都世田谷区)健康管理課医長の牧由美子医師はそう言う。
 首都圏のある小学校を休職して、来院した中堅の男性教師は、食欲がなく、仕事でミスが続き、「自分はダメ教師だ」と思い込んでいた。診断結果はうつ病。発病のきっかけは、児童に配った教材についていた、小さな傷だった。
 まず、保護者から「うちの子の教材にわざと傷をつけたのか」という電話が学校にかかってきた。男性教師は、交換品をすぐに取り寄せることができず、その後も連日のように、自宅の電話で抗議を受け続けた。同僚からは「もっとしっかり対応すれば良かった」などと批判され、孤立感を深めてしまったという。
復帰へ集団療法も
 別の男性教師は、勤めていた都内の小学校で、かすり傷を負った児童の親から、「ばんそうこうをはるほどのけがなのに、なぜ親に知らせないのか」と電話でどなりつけられた。親はさらに学校を訪れ、男性教師を数時間にわたりしっ責。男性教師はその夜から眠れなくなり、同病院で「急性うつ病」と診断された。
 同病院では、こうしたうつ症状を持つ教師たちが、苦しんだ経験を打ち明けたり、自己分析したりする集団療法を実施している。年間で約30人の教師がこの治療を受けているが、「自分以外にも同じ悩みを持つ教師がいると知るだけで、気持ちが軽くなる人も多い」と牧医師は話す。治療の効果は上がっており、毎年、約8割の教師が職場復帰を果たしているという。
休職10年で3倍に
 文部科学省の調査によると、うつ病などの精神性疾患で休職した公立学校の教師は、2005年度に過去最多の4178人に上り、過去10年間で3倍に増えた。同省はこれらの疾患の原因までは分析していないが、東京都教職員互助会の「三楽病院」(千代田区)で精神神経科部長を務める中島一憲医師も、「教師が心身を病む原因として、『親のクレーム』が増えたと感じる」と指摘する。
 中島医師によると、親が学校を通り越して教育委員会に苦情を寄せたり、複数の保護者が協力して教師を辞めさせるよう要求したりするケースが増えているという。中島医師は、「保護者から強い態度に出られると、毅然(きぜん)と対応できない若い教師が多くなっており、そうした教師がダメージをうけやすい」としたうえで、「教師個人での対応が難しくなっているだけに、教師がグループで対応したり、保護者の対応窓口となる相談室を設けたりする仕組み作りが必要だ」と提言している。(2007年8月13日 読売新聞)




東京新聞2007年7月1日 朝刊
親の不当要求…おびえる学校 先生の訴訟保険、3人に1人加入 都公立校
 東京都の公立校教職員が保護者などから訴訟を起こされた際に訴訟費用の補償を受ける公務員賠償責任保険(訴訟費用保険)への加入者が、教職員の三人に一人となり、七年間で十七倍に増えていることが分かった。背景には、学校に理不尽な要求を突きつけたり、不当なクレームをつけて訴訟を起こすなど教育現場を混乱させる保護者「モンスターペアレント(怪物のような親)」の存在があるようだ。 
 訴訟費用保険を扱う東京都福利厚生事業団によると、二〇〇〇年の同保険発売当初の加入者は一般行政職なども含め都職員全体で約五千五百人、うち教職員は約千三百人だった。〇七年には全加入者が約三万七百人、うち教職員は約二万千八百人と七年間で十七倍に増加した。
 加入者全体に占める教職員の割合も二〇〇〇年は約24%だったが、翌年には一般行政職などを追い抜き、〇七年には全体の約71%を占めた。教職員の加入率は教職員全体(〇六年度で七万千五百六十八人)の約30%になった。教員の実数は不明だが、同保険発売から今年三月までに保険金を支払ったケースは全体で五十件あった。
 背景として指摘されているのは「モンスターペアレント」の「脅威」(ある教員)だ。ある小学校の個人面談で教員との会話の録音を父親に要求されたり、別の小学校では、運動会で子どもに日差しが当たっていたことに立腹した母親から「熱射病になったら責任がとれるのか」と苦情が寄せられた。運動会直前に父親から「うちの子が騎馬戦で上に乗れないのはおかしいじゃないか」と怒鳴り込まれたことも。なかには訴訟にまで発展するケースもあるという。
 今年三月、同保険に加入した東京都中央区の小学校教員は「周囲の子とぶつかって階段を踏み外した児童の母親に『うちの子が殺されそうになったそうじゃないの』と怒鳴り込まれたことがある。いつ訴えられてもおかしくない。校長が守ってくれるとは限らないので、お守り代わりに入った」と話す。
 当初は学校が訴えられることを想定して学校長が加入していたが、一般教職員も訴えられる不安から加入が増えたようだ。
 同事業団の担当者は「教職員は仕事の性質上、生徒や保護者と直接接するため、その分リスクを感じる機会も多いのだろう。訴訟に費用がかかるので保険は福利厚生の一環として扱っている」と話す。
【2007.08.14 Tuesday 11:13】 author : 杉篁庵主人
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いよいよ「国家のための国民育成」へ



賛成119、反対97で、教育改革関連3法案が参院本会議で成立した。


安倍は、国家的な見地からの発想を嫌うことを「戦後教育の蹉跌のひとつである」(「美しい国へ」)と書き、教育基本法を改定をして、国家という見地からの教育を推し進めている。
安倍は「領主様」にでもなったつもりなのだろうか。
また、このごり押しの方針を支える取り巻きの議論を聞くと怒るよりも悲しくなる。
国民は本当に「国」のために生きることを望んでいるのだろうか。国民のための「国」だったのではなかったか。
「愛国」心を説く男は「国」を犠牲にしてアメリカに隷属しているのだから、わけが解らなくなっても当たり前か。

しかし、この教育の改革の方向は全く頓珍漢である。よい教員を如何に育成するかがが解っていない。
このままでは「子供を育む」教育現場はどんどん萎縮していくであろう。



秋田魁新報06/20の社説。全文転載。
「安倍教育改革」 行く末に不安が膨らむ
 教育がこれで本当にいい方に向かうのか。どうしても懸念がぬぐえない。
 教育改革関連3法案がきょう20日にも参院本会議で成立。昨年末の教育基本法の改正と併せ、「安倍教育改革」が法律的にほぼ整うことになる。
 安倍晋三首相の教育改革に懸ける意気込みに異存はない。昨今の教育には問題が多く、改善は急務だからである。しかし、適切な「処方せん」かといえば話は全く違ってくる。
 教育基本法と関連3法の眼目はせんじ詰めれば、「愛国心」をうたい上げ、国による教育の管理を強めた点にある。
 これが「学力の向上」や「規範意識の育成」とどう結びつくのか。納得できるような説明があったとは言い難い。
 それどころか、教育があらぬ方向に進みかねない危うさを秘める。教育の目的が「国家のための国民育成」に傾く恐れが出てきたのである。
 安倍首相は憲法の改正を悲願としている。教育関連法の改正はその「前段」と位置づけても構わないだろう。
 子供一人一人はもちろん、国の将来も左右しかねない教育関連法の改正が、「突貫工事」で進められたこともあらためて指摘しなければならない。
 今回の3法案について、中央教育審議会がわずか1カ月足らずの審議で答申したのは、その最たる例だ。教育基本法を含めて衆参の国会審議も十分尽くされたとは到底いえない。
 夏の参院選をにらみ、とにかく成果がほしい安倍政権にすれば「まずスケジュールありき」だった側面が強い。教育が政治に利用されたとすれば、教育の行く末に一層不安が募る。
 法律改正と対をなすように、「安倍教育改革」の推進役となるはずの教育再生会議も、心もとない限りだ。
 中でも先ごろまとめた第2次報告は教育に対する深い分析や洞察に欠け、改革と称するメニューを並べたにすぎない。
 安倍首相がこの報告を「素晴らしい」と絶賛しているとは、にわかに信じ難い。物事を身内中心で進めようとする「お仲間政治」を示す好例であろう。
 報告の焦点である「土曜授業」も「徳育(道徳教育)の教科化」も疑問だらけなのだ。
 土曜授業は授業時間を増やせば学力がつくとの単純思考に基づく。学習意欲の低下や低学力層の拡大という根本問題まで切り込んでいない。
 何より土曜授業の定着は完全学校週5日制の事実上の廃止となる。「ゆとり教育」を総括しないまま、制度だけコロコロ変えるのはあまりに安易であり、教育現場を混乱させるだけだ。
 徳育も「国家のための国民育成」と結びつけば、一定の価値観の押しつけにつながる。ある価値観を唯一正しいとする社会を国民は望むだろうか。
 教育は法律の文言をいじり、ああしろこうしろと提言を重ねれば、変えられるほど生易しいものではない。教師と子供の生身の営みの上に成り立つ。
 「安倍教育改革」とは結局、政治的思惑を背景に、教育現場をないがしろにした理念先行の「机上の改革」とくくることができるかもしれない。(2007/06/20 11:14 更新)



時事通信2007年06月19日21時15分
●教育改革関連3法改正案の主な内容
【教育職員免許法改正案】
 1、教員の普通免許、特別免許に10年間の有効期間を定める。
 1、更新制の導入に関する規定の施行期日は2009年4月1日とする。
 1、任命権者は、教育や医学の専門家や保護者らの意見を聞いて、「指導が不適切な教員」の認定を行う。
【地方教育行政法改正案】
 1、緊急に児童生徒の生命・身体を保護する必要が生じた場合、文部科学相は、教育委員会に対し是正・改善の「指示」ができる。
 1、児童生徒の教育を受ける権利が侵害されていることが明らかな場合、文科相は、講ずべき措置の内容を示して「是正の要求」を行う。
 1、知事は、私立学校に関する事務について必要と認めるときは、教育委員会に対し、学校教育に関する専門的事項について助言・援助を求めることができる。
【学校教育法改正案】
 1、改正教育基本法を踏まえ、義務教育の目標に「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度」の文言で「愛国心」を規定する。
 1、学校の組織運営、指導体制を強化するため、副校長、主幹教諭、指導教諭の職を置くことができる。(了)



関連した東京都の動き。
朝日新聞
2007年06月19日06時08分
「先生の指導役」新ポストを設置 都教育庁、来年度にも
 東京都教育庁は、公立学校で主幹職を補佐し、教諭の指導役になる新たな職を来年度にも設ける方針を固めた。「主任教諭」の名称にする方向で、ピラミッド化を進めて役割分担や指示系統を明確にし、指導力向上を図るという。新たな職の設置が可能になる学校教育法改正案が参院で審議中だが、先取りする形になる。
 同庁によると現在、都内の公立学校では教員は校長、副校長、主幹、教諭の4段階に分かれている。このうち全体の約85%を占める教諭を「主任教諭」と「教諭」に分けて5段階にし、主任教諭は給与を上げる。10年目程度の中堅層が対象で、若手の指導役として中堅層の過半数を採用する方針だ。
 団塊世代の退職期を迎えて指導役の教員の不足が見込まれることが背景にある。女性の管理職が少なく、多くの女性教員に指導的立場にたってもらう目的もあるという。
 このほか、校長のなかでも進学重点校や困難校など改革が必要な学校では、給与の高い「統括校長」も新設する。
 今後教育委員会の承認を得た上で、都の学校管理運営規則を改定する。区市町村にも規則改定を求める。8月には都人事委員会に給与制度改定を要望し、来年4月からの任用を目指す。
 教員の階層をめぐっては、政府の教育再生会議が「公立教員給与は評価を踏まえた体系にする」と第2次報告を首相に提出。「副校長、主幹教諭、指導教諭の三つの職を新設できる」とした学校教育法改正案が衆院で可決され、国が制度改正に動き出している。
 ただ、都は03年度、全国に先駆けて主幹を新設したが、負担が重く必要数の6割しか配置できていない実態もある。新ポスト導入に現場の教員からは「管理強化を進めるものだ」「教諭の分断化を図っている」と反対する声があがっている。同庁は「指導力向上が目的で管理強化ではない」としている。
【2007.06.20 Wednesday 17:49】 author : 杉篁庵主人
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気鋭の改憲論者はどこにもいない

山茶花に毛虫を見つけ、駆除のついでに剪定をはじめたら、モミジと柿とアオキも剪定することになった。中途半端だが昼になったので今日は終了とした。


20日の読売新聞朝刊のコラム「方位計」に面白い文章があった。
気鋭の改憲論者 どこに」と題されていたもので、筆者は名のある政治記者のようである。
以下、全文を引用転載する。(これはネットからは見つけられなかったのて直接入力)


 「憲法施行から60年。人間でいえば還暦で、本来ならぼお祝いをすべきだが、憲法は果たして赤いちゃんちゃんこが着られるのか。ちゃんちゃんこというよりは経推子を着さされそうな雰囲気だ」
 国民投票法成立を翌々日に控えた12日。東京・成城大で開かれた憲法学会「全国憲法研究会」春期研究集会で、司会の駒村圭吾慶大教授は憲法の現状を経推子に例えた。
 経推子は、仏式で葬る際に死者に着せる良い着物だ。憲法改正を憲法が死ぬととらえるのは穏やかではないが、同会をはじめ、憲法学界は「護憲」派が大多数を占めでいる。
 憲法新時代を語ってくれる30代、40代の新進気鋭の学者はいないのか。そう考えていた時、「論座」6月号(朝日新聞社)で、東大の石川健治教授の論文「ラオコオンとトロヤの木馬」にめぐりあった。
 石川氏は、1962年生まれ。「現代憲法学の奇才」「20年に1人の逸材」 (インターネット百科事典「ウィキペディア」)と激賞され、研究者間の評価は際立っている。
 それだけに論文を読んで、いささかショックを受けた。論旨は、こうだ。
 <自衛隊の正当性を剥奪し、コントロールしてきたのは9条2項だ。自衛隊は国内的な治安出勤も予定した組織だ。9条2項を改正して自衛隊に正当性を与えた上で国民の自由を確保できるだけの力量は、戦前の帝国議会での「前科」がある日本の議会政治にはいまだ備わっていない>
 石川氏は「9条改憲には得るものがなく、失うものだけが果てしなく大きい」とも言う。これが研究者の間で「憲法3天才の1人」とされる人の考え方なのか……。
 憲法学界で、石川氏らの一つ前の世代で注目されるのが「55年生まれ組」だ。松井茂記・元阪大教授、棟居快行阪大教授、安念潤司成蹊大教授らで、56年生まわの長谷部恭
男東大教授もこの世代だ。
 棟居氏は、石川氏の論理を「9条の風圧で自衛隊をある程度までに押しとどめているというのは憲法の本来の役割ではない。9条は自衛隊の存在を前提としない文字通りの丸腰論で、とっくに賞味期限は切れている」と批判する。棟居氏は石川氏ら若手研究者が「護憲」の論陣を張ることにユニークな見方を示す。
 「彼らが改憲となったら、政府や与党もまともな学者を集めたいわけだから、改正原案作りなどに引っ張られ、すごく忙しくなる。(現憲法起草にかかわった)東大の宮沢俊義教授のようなことをやらされたら勉強できなくなる、と思っているのではないか」
 安念氏も「憲法の世界では、改憲論者は、はっきり言って二流学者」と言い切った。
 同業者から認められ、政府が手を伸ばしたくなる気鋭の改憲論者の登場を心待ちしたい。(前木理一郎)



この筆者は、護憲の考え(9条改憲には得るものがなく、失うものだけが果てしなく大きい)を「憲法3天才の1人」とされる人の考え方なのかと、ショックを受けたことを正直に述べる。
しかし、残念なことに、その先を一歩踏み出せば世界が違って見えるというのに、その論がどのような認識によって立つかという思慮を怠って、今までの自己の認識を顧みようとしない。「まともな学者」が護憲を主張していることを知りながら、これまでの自己の観念にとらわれて、その根拠に深く思い致すことがない。
一流の憲法学者が「護憲派」になるのはなぜか?とどうして考えないのだろう。
一流の学者が、忙しくなるから自分の認識を曲げるなどと言うような自己否定をする訳がない。そう思う人は世渡りは上手くても学者としては三流以下だろう。
「より良い道」を考えれば、護憲を主張するしかないのだ。
現憲法を賞味期限切れとするのは、国際社会に思いを致してあるべき「平和」を追求するのではなく、日本の米国に追随(隷属)しての「金儲け、よく言えば繁栄」を第一に考えてしまうからだろう。
この筆者には、ショックを真摯に受け止めて、自己正当化を保証する「気鋭の改憲論者の登場を心待ちする」のではなく、世界の中での日本のあるべき姿について、自らもう一歩踏み出して考えて欲しいものだ。
【2007.05.22 Tuesday 14:35】 author : 杉篁庵主人
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憲法記念日に



携帯の電源が切れて、ブログも書けないままだったが、家に帰ってきたら、読みきれないほどにあれこれ記事がたまっている。
特にまとめる気にもなれなかったが、憲法に関連してこの三日ほどいろいろ考えていた。朝日の特集には重なる考えが多くコメントもつけたいが、これからまたネット環境のないところに籠るのでその記事だけをまとめておく。


 朝日新聞は3日「社説21 提言・日本の新戦略」として、一挙に21本の社説を掲げている。昨年4月から展開してきたシリーズ「新戦略を求めて」の集大成という。
「いったい日本は何を考え、どこへ行こうとしているのか」に一つの道筋を提示したといえよう。
これを考えるとき、私には天皇制に触れないで語ることはできないが、ここでそれを問題にしたら混乱するばかりだから何も言わずにおこう。
また、自衛隊やアメリカとの距離感に見解の違いはあるが、共感するところ多く全文引用しておこうとも思ったが、一面と特集記事全8ページであまりに長い。


以下はその要点。
本文はこちら


シリーズ「新戦略を求めて」の項目
第1章 世界の中の日本 (2006年4月23〜27日)
第2章 エネルギー安全保障 (2006年6月4〜7日)
第3章 グローバル化と日本 (2006年8月27日〜9月1日)
第4章 アジアの中の日本 (2006年11月4〜9日)
第5章 イスラムと日本 (2007年1月7〜11日)
第6章 21世紀の安全保障 (2007年3月19日〜30日)
第7章 21世紀の安全保障II (2007年4月16日〜20日)



朝日新聞 社説21(2007年5月3日)
社説特集 〈憲法60年。私たちはこう考えます〉
はじめに 「提言 日本の新戦略 「地球貢献国家」をめざそう」
9条生かし、平和安保基本法を
(「戦争放棄」の第9条を持つ日本の憲法は、地球貢献国家をめざすための貴重な資産。)
◎〈総論〉
1.地球貢献国家 世界のための「世話役」になる
◎〈地球と人間〉
2.気候の安全保障 脱CO2がおカネになる 社会モデルをつくる
■「キョート」を地球保全の原点にする
・地球の平均気温上昇を2度以下に抑える
・省資源社会のモデルを日本で実践し、世界に広める
・環境ビジネスの魅力を高め、米国や中国も温暖化防止に引き込む
3.省エネ社会
■新技術を活用し、集中型から分散型へ
・技術の潜在力を生かし、自然エネルギーの利用を拡大する
・天然ガスから水素エネルギーを得て、家庭や地域で発電・熱利用を進める
・日本の原発依存率は現状以下に抑えていく
4.原子力と核
■核廃絶と温暖化防止の二兎を追うべきだ
・NPTの堅持が原子力利用の大前提だ
・核廃絶をめざすことでこそ、核拡散防止に展望が開ける
・NPTに入らず核実験したインドへの原子力協力は問題が多い
▽争奪戦にはしない。その前に知恵と手だて、いくらでも
5.化石燃料
■省エネと消費国の連携で、石油危機を防ぐ
・省エネは最良のエネルギー安全保障対策である
・産油国への投資と交流を広げ、結びつきを強くする
・石油、天然ガスを備蓄し、緊急時にアジアで融通し合う制度を整える
6.食料の安全保障
■貿易協定に日本への優先的供給義務づける条項を
・豪州やカナダとのFTAなどで、食料の優先的供給を定める
・バイオ燃料にも力を入れ、食料の不足時には作物を食用に向ける
・地球規模の食料安定供給を考え、持続可能な農業、漁業を支援する
7.アフリカ支援
■置き去りにすれば、問題が世界に拡散する
・ODAを思い切ってふり向ける
・熱帯農業支援では東南アジアの力を借りて「三角協力」を進める
・将来の投資機会を見込んで、産業育成を支援する
◎〈グローバル化とアジア・イスラム〉
▽グローバリゼーションを活用する
8.経済のグローバル化
■弊害と向き合い、上手に果実を増やす
・富を増やしながら、格差拡大を防ぐ手立てを整える
・WTOを大事にし、自由貿易の利益を途上国にも
・日本は構造改革を進め、農産物の市場を開放する
9.通貨の安定
■アジア版「ユーロ」を遠くに見据える
・グローバル化に適した金融・通貨の安定化戦略を練る
・アジア通貨危機の再来を防ぐ地域協力を発展させる
・ユーロにならい、アジア共通通貨の創設を将来目標にする
10.東アジア共同体
■開かれた統合にし、アメリカとも連携する
・二国間、地域間の経済統合は、果実が多いので推進する
・東アジアの統合は貿易、環境など、分野ごとの連携から
・米国との自由貿易も進め、東アジアを閉鎖的「砦」にしない
▽歴史に謙虚であること。アジアにかかわる原点
11.アジア新秩序
■日米中の首脳会談を定例化しよう
・「6者協議」を発展させ、北東アジア安定に向けた枠組みを
・韓国、ASEANなどと連携し、大国の独断・独走に歯止めを
・歴史和解を確かなものにすることは、日本の安全保障問題だ
12.隣の巨人
■「開かれた中国」へ、法治と透明化を
・「法の支配」の浸透を側面支援し、民主性が広がる機会とする
・さまざまな国際ルールへの参加を求め、情報公開を促していく
・公害病の対策で協力し、大勢の生命を救うことで信頼を深める
13.イスラムとの付き合い
■「文明の対立」回避へ、日本の出番だ
・西洋と異なる日本の発展を参考に、宗教と経済的発展の両立を
・テロ対策などで、宗教指導者との連携を密にする
・イスラム研究の態勢を強め、相互理解、人材育成を進める
◎〈憲法9条と平和・安全保障〉
▽日米同盟を使いこなす。しなやかな発想
14.日米安保
■国際公益にも生かし、価値を高める
・米国との同盟と自衛隊で日本を守る
・9条との組み合わせこそが、政治の現実的な知恵である
・同盟の信頼関係をアジアの安定に役立てていく
15.自衛隊の海外派遣
■国連PKOに積極参加していく
・自衛隊が参加できる国連PKO任務の幅を広げる
・平和構築のための国際的部隊にも限定的に参加する
・多国籍軍については、安保理決議があっても戦闘中は不参加が原則
16.人間の安全保障
■憲法前文にぴったりの活躍を
・国連・平和構築委員会の中軸国となる
・「法の支配」定着への支援をお家芸にする
・ODAを大幅に増やす
▽9条、平和ブランドを 捨て去る理由はない
17.9条の歴史的意義
■日本社会がつくりあげた資産
・9条は、戦後の平和と繁栄の基盤である
・歴史を反省する、強いメッセージでもある
・軍事力での問題解決には限界があり、9条の価値を発展させるべきだ
18.9条改正の是非
■変えることのマイナスが大き過ぎる
・改正すると、戦後日本の基本軸があいまいになる
・米国の単独行動主義への、大きな歯止めを失う
・9条は、「国際公益の世話役」としての日本への信頼の基盤になる
19.自衛隊
■平和安保基本法で役割を位置づける
・軍隊とはせず、集団的自衛権は行使しない
・国連安保理決議にもとづく平和構築活動に参加していく
・非核を徹底して貫き、文民統制をきちんと機能させる
◎〈日本の外交〉
▽魅力高めて 世界のヘルプキーに
20.ソフトパワー
■ほっとけない。もったいない。へこたれない。
・ハードパワーの競争だけでは、国益、国際公益の追求に限界がある
・「ほっとけない」「もったいない」「へこたれない」の精神を世界へ
・不毛なナショナリズムの悪循環を断たなくてはならない
21.外交力
■世界への発信力を鍛えていく
・高い政策提言力を持つシンクタンクをつくる
・国会での政策審議力を向上させるため、国会図書館の機能強化を
・NGOの潜在力を伸ばし、条約づくりなどで協働していく
以上21の項目で日本の一つのありようが提示されている。


以下は今日(前後続けて書いている社もある)の憲法を取り上げていた社説のタイトル。


読売新聞 憲法施行60年 歴史に刻まれる節目の年だ
毎日新聞 平和主義を進化させよう 国連中心に国際協力拡大を
日経新聞 還暦の憲法を時代の変化に合う中身に
北海道新聞 憲法施行から60年*(下)*貧困を許さぬ生存権こそ(3日)
  憲法施行から60年(中)*九条を変質させていいか(2日)
  憲法施行から60年(上)*国家主義への回帰危ぶむ(30日)
秋田魁新報 憲法記念日 再確認したい平和主義
産経新聞 憲法施行60年 日本守る自前の規範を
東京新聞 憲法60年に考える(下) 直視セヨ 偽ルナカレ
  憲法60年に考える(中) 統治の道具ではなく(2日)
  憲法60年に考える(上) イラク戦争が語るもの(1日)
神戸新聞 憲法施行60年/掲げた理想が揺らいでいないか
中国新聞 憲法60年(上) 「改正」問う 価値高める道筋探ろう
西日本新聞 「立憲主義」の堅持が前提だ 憲法施行から60年〈中〉(3)
  「不戦の理想」は色あせない 憲法施行から60年〈上〉(2)
神奈川新聞 憲法60年2007/05/02 許されぬ政府解釈の変更
新潟日報 還暦迎えた日本国憲法 新たな命を吹き込もう
北日本新聞 憲法施行60年/意義と役割よく考えよう
信濃毎日 憲法60年(上) 論議を国民の手に戻せ 
岐阜新聞 憲法施行60年 政治的思惑で改憲するな
滋賀報知 ・憲法記念日は改憲論を考えよう
福井新聞 憲法施行60年 日本の姿しっかり考えて
山陰中央新報 憲法施行60年/政治的思惑で改憲急ぐな
山陽新聞 憲法施行60年 改憲の是非真剣に考えよう
徳島新聞 憲法施行60年〈上〉 いまこそ原点に返って 03
愛媛新聞 憲法施行60年 なし崩しの解釈変更は危険だ
佐賀新聞 憲法施行60年 改正の是非は主権者に
熊本日日 憲法施行60年 理念に立ち返るところから
宮崎日日 還暦の憲法記念日(国民は冷め、首相だけが突っ走っている)
南日本新聞 [憲法施行60年] 改憲は一政権の思惑で進められない
沖縄タイムス【還暦迎えた憲法】平和の理念揺るがすな
琉球新報 憲法施行60年・9条を手放していいのか/平和主義の精神これからも

【2007.05.03 Thursday 23:53】 author : 杉篁庵主人
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絶対得票率



ニセ民主主義のメッキをはがす方法 、といって、「政治システムを変えるために、積極的な選挙権の放棄を訴えたい。投票率が20%を切ったらどうなるか。誤解を恐れずに言えば、そのことが偽り民主主義のメッキを引き剥がすための政治参加なのかもしれない。」として「こうなれば「積極的選挙権放棄」しかない」と訴えている人がいた。
しかし、どんな選挙においても有効最低投票率なるものはないのだから、投票率が20%を切ったとしても何も変わらないだろう。一部の人の思い通りの政治が実現するばかりではないだろうか。


これを現在の「国民投票法」に当てはめてみれば、この20%の過半数つまり有権者の10%たらずで国のあり方が決まっていくようになっている。
このシステムがわかっているのだろうか。80%の有権者は無視され20%の(みせかけの全有権者の)過半数が賛成・反対したといって、メッキを剥がすどころか「ニセ民主主義」が大手を振ってまかり通るシステムが今出来上がろうとしているのだ。
投票率が20%だから無効ということにはならない。無効訴訟を起こしても法がそうなっていれば、覆ることはないだろう。


ニセ民主主義のメッキをはがす方法としては、棄権や無効票を少なくして、実質80%の投票率を実現することしかない。


憲法改正の国民投票における「過半数の賛成」とは、少なくとも「全有権者あるいは十八歳以上の全国民の大多数の賛成」と解するのが正しい素直な解釈である。


それゆえ国民投票法には、最低投票率か絶対投票率を設けるべきであろう。
最低投票率とは、国民投票を有効にするための全有権者に対する投票者の最低の割合。これを60%と定めれば全有権者の30%の賛成で成立し、80%に定めれば40%で成立する。
また、絶対得票率とは、全有権者に対する賛成投票者の割合で、成立条件として少なくとも40%〜35%程度は必要だろうと考える。


簡潔に法案としては、「成立に必要な絶対得票率は40%以上とする」という加重要件を付け加えればいいだけである。
【2007.04.17 Tuesday 23:09】 author : 杉篁庵主人
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明確な民意が示されたと判断する基準



(参考)40パーセントルール
40パーセントルールは、イギリスの助言型国民投票における原則で、ある投票案件が有権者に承認されたとするための条件として、投票者の過半数に加えて、全有権者の4割の賛成を求めるというものである。すなわち、投票率6割で投票総数の6割が賛成しても、このルールを充足することはできないことから、明確な民意が示されたと判断する基準として、用いられる。(福井康佐「憲法改正国民投票における運用上の諸問題」198頁 学習院大学大学院法学研究科法学論集9・10号 2003年)

注「投票率6割で投票総数の6割」は36%だから、有権者の40%に満たない。


上記は、昨日のブログの表の出典と同じく、衆議院HPの「国民投票」に関する参考資料の中にある「参考」の引用である。
この資料には、絶対得票率(全有権者の何%か)を定めている国に「過半数=ウガンダ、40%以上=デンマーク、30%=ペルー」とあるが、国の基本を定めようとするのだから、全有権者の「過半数や4割」を設定するのが当然ではないかと思う。
「40パーセントルール」がそれなりの意味を持って語られる所以であろう。


最低投票率の規定もなく、投票総数でもなくて、民意を反映していると考えるような規定は杜撰としか言いようがない。
「明確な民意が示されたと判断する基準」がどの辺りにあるか、参院では徹底して議論してほしい。
【2007.04.16 Monday 23:14】 author : 杉篁庵主人
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国民投票法案中央公聴会



一昨日中央公聴会を開き、4月5日に二度目の中央公聴会を儀式のように行って、問題点はなんら解消されないまま強引に採決に持っていくのだろうか。
これに関しての報道は小さい。
この動きの記録として以下、23日の東京新聞の「特報・国民投票法案は真にフェアか?」と公聴会・その要旨(日経・中国新聞)を転載。


3/23 東京新聞
特報
国民投票法案は真にフェアか?
 
 国民投票の方法を規定する法案作りが大詰めを迎えている。二十二日は衆議院で公聴会が開かれ、また一歩、成立へ近づいた。この法律、手続き法とはいえ、投票の結果は改憲に直結するだけに慎重な吟味が必要だ。自民党が中心になってまとめた法案は、真にフェアといえるのか。「改憲」「護憲」双方の立場から意見を聞いた。 (橋本誠、宮崎美紀子)


■修正を加え『完ぺき』
 「国民投票法は当然必要だ。憲法が不磨の大典ではないのは世界の常識。九六条に改正手続きがある以上、国会法や教育基本法のように戦後作られなくてはいけなかった」
 まず国民投票法の法案作りにも参加した小林節・慶応大学教授(憲法学)は、その重要性を強調した。
 「憲法改正の発議は、衆参両院の国会議員の三分の二で行う。国民投票法という手続き法を作るのが改憲案が具体的に出た後になれば、黙っていても改憲案が通る法律しかできない」と制定を急ぐよう求める。
 修正案の総合評価は「ちょうどいい案になった。難点はなく、完ぺき」。
 自公のたたき台が憲法改正を一括して国民投票にかけるとしていたのを、安全保障は安全保障、人権は人権と項目別に分ける案に修正した点を評価する。
 「メディア規制も編集長が刑事責任を問われる治安維持法のような案だったから、撤廃させた」
 公務員・教員の運動制限については「公選法で禁止されている選挙活動と違い、利権を生まない。表現の自由の原則に従うべきだが、子どもたちに『明日にも戦争になる』と教える教師も出かねない」として罰則のない訓示規定は認めていいとする。

■自民新草案には慎重な態度示す
 ただし国民投票法の向こう側にある改憲論議となると、自民党の新憲法草案には、かなり懐疑的だ。
 「『海外派兵の手続きは法律で定める』としているが、国連の正式決議と国会の事前承認を得るべきだ。国家が国民に『国を愛せ』というのは教育勅語の世界。権力者を縛るためにある憲法で強制するのでは北朝鮮と同じだ」
 憲法に対する小林氏の基本姿勢は「国民主権、平和主義、人権尊重の日本国憲法は、敗戦があったからこそ得られた素晴らしい憲法。そのうえで、もっとよくする改憲が望ましい」。
 平和主義に関しては「(前文で)『平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して』としているが、北朝鮮のように、そんな国民ばかりではない」。だからこそ九条を改正し、侵略戦争の放棄、自衛戦争の権利、常備軍の設置を盛り込むよう求める立場だ。これを「護憲的改憲論」と呼ぶのだという。
 戦後、プライバシーの権利や環境権、知る権利など憲法の想定外のテーマが生まれたことも重視。手を加える必要を感じるという。
 そのうえで、「社民党や共産党が手続き法に抵抗するために、憲法の内容について議論し、自民党を反省させる場がないのは問題。それで、自民党が憲法を無視して海外派兵している。イラクでは航空自衛隊が米軍を輸送しているが、完全に米軍に組み込まれている。いつか撃墜されますよ」と警鐘を鳴らす。
 護憲勢力は国民投票法制定で改憲が加速するのを警戒する。が、小林氏は、「自民党草案の愛国心や海外派兵は、きちんと議論の中で討ち取れる」と反論する。
 安倍政権については「旧来型の自民の二世、三世議員の感覚で、国民から権力を預かっている感覚がないのが恐ろしい。勇ましい復古調の改憲論だ」と感じるという。ただし「自民の少数の良識派と民主の多数の常識派が核になり、もともと護憲派の公明党と一緒になれば、憲法の改悪はあり得ない」。

■かつての“闘士”40年ぶりに集結
 一方、二十二日に国民投票法案の公聴会が行われた国会前では、かつての学生運動の闘士たちが四十数年ぶりに結集し、座り込みとハンストを始めた。
 全学連、全共闘、学生運動OBによる「9条改憲阻止の会」のメンバーは、六、七十代が中心。若いころのような命がけの闘争ではなく、朝十時から夜六時まで、土日、祝日は休むという無理のない“プチ・ハンスト”を展開している。
 中央大自治会出身の三上治さん(65)は「絶えず監視し意見を言わなければ、国家権力は暴走しかねないことを、われわれや、もっと上の世代は体験的に知っている。憲法改正が国民の自主運動として盛り上がり、国民投票法ができるのならいいが、国民と国会の距離が離れ、政府の意見を反映した法案がどんどん通っていく現状を考えると、今、法律ができることに危機感を感じる」と話す。過半数の分母についても「国会で三分の二以上、という厳しい規定があるのだから、国民投票も一般の選挙よりも厳しく、有効投票ではなく、有権者の過半数とするのが当然」と指摘する。
 法案の中身は、二〇〇四年の骨子案にあった「メディア規制」が削除され、期日も「発議後、三十−九十日」から「六十−百八十日」に延長された。一方で、最低投票率の規定がないままでは、投票率が低い場合、国民の意思を反映したことになるのか、公務員・教員の運動の禁止は、彼らの表現の自由を規制するのではないかといった問題が残っている。

■『国民不在』暴走危ぐ
 二十二日の公聴会を傍聴した猿田佐世弁護士は「自民党推薦の公述人以外は、公明党推薦も含め、今国会での成立は避けるべきとの意見だった。自民党は、これまで強行採決や民主党抜きで事を決めようとはしてこなかったのに、ここにきて急に審議がスピードアップしている。公聴会を大阪、新潟で同じ日にやるという強行日程も拙速さを象徴している」と批判する。

■公務員運動禁止 「罰則」に等しい
 また、公務員・教員の運動禁止は「罰則はないが行政処分は科すことができる。日の丸・君が代問題で教員がどんどん処分されているように、これでは罰則があるのに等しい。また、憲法を授業で教えることすら『今ある憲法を支持している』とされる危険がある」と問題視する。
 「グローバル9条キャンペーン」呼び掛け人の青山学院大学大学院・新倉修教授は「国民投票で国民がNOと言えば憲法改正は通らない。それはたしかだが、改正の手続きの枠のはめ方に問題がある」と話す。
 教員の運動禁止も「大学教授が教室で憲法について話すことすら違反になるのでは」と懸念する。
 「誰が見ても後ろ指をさされないように百年の計でやるのが改憲だ。失言、失策でお尻に火がついた政権が、数を頼んで出してくる国民投票法ではアンフェアな競争になってしまう」
 猿田弁護士は、こう強調する。
 「『九条を早めに変えたい』という出口ありきの国民投票法で、フェアなものができるとは思えない。手続き法ですら審議が尽くされないのだから、この先の憲法改正も審議が尽くされるとは思えない」

<デスクメモ> 「愛国心」だの「教育再生」だのとセットになって、改憲論議がやってきた。古い戦争の記憶がよみがえるのは当然だ。「九条がなくなれば、日本人はアジアで商売はできないよ」とは商社マンの友人の弁。諸外国だって、まだ疑っている。これも当然。せめて、米国が戦争をしていないときに話をしないか。 (充)



日本経済新聞 3月22日
国民投票法案で公聴会開催・衆院憲法特委
 衆院憲法調査特別委員会は22日、憲法改正手続きを定める国民投票法案に関する中央公聴会を開催した。先立つ委員会で28日に新潟県と大阪府で地方公聴会を、4月5日に二度目の中央公聴会を開催することを決めた。与党はこれで法案採決への環境が整うとしており、4月中旬の衆院通過を目指す方針だ。
 22日の公述人は次の通り。(カッコ内は推薦した政党)
 中央選挙管理会の浅野大三郎委員長(自民)▽山花郁夫前衆院議員(民主)▽法政大の江橋崇教授(公明)▽東京慈恵会医大の小沢隆一教授(共産)▽国際経済研究所の高田健代表(社民)▽政策研究大学院大の本田雅俊助教授(国民新)(12:48)


中国新聞 3月22日
憲法調査委の公聴会要旨 公述人の発言
 衆院憲法調査特別委員会が22日に開いた中央公聴会での、公述人の発言要旨は次の通り。

 ▽浅野大三郎・中央選挙管理会委員長 選挙人の範囲と、国民投票の投票権を有する範囲(18歳以上とする方向)が異なる場合や発議件数が多い場合は、事務処理に周到な準備が必要になる。公務員、教育者の地位利用はいけないとはっきりさせておくのが適切だ。改憲案の是非についてのテレビ広告を投票期日前の2週間制限することは適切だ。改憲案発議後、有料広告を一切禁じるのは行き過ぎだ。政党に無料で割り当てる新聞広告枠もあっていい。一般的国民投票は代議制民主政治との関係で難しい問題で、時間をかけて議論すべきだ。

 ▽小沢隆一・東京慈恵医大教授 憲法改正が現実的な日程に上るまでに成立すればよく、慎重の上にも慎重を期した審議が可能だ。最低投票率制度を採用していないのは国民主権の原理に基づく制度としては根本的な不備だ。公務員、教育者の地位利用の禁止規定は不必要であり不適切。投票妨害的な行為を除いて自由に呼び掛けの運動ができることが憲法の原理に合致する。罰則がなく、行政機関が独自に懲戒処分を行えるなら、所属長がどんな処分をするか分からず、逆に混乱をもたらすと懸念する。国会の発議から投票までの期間が「60日以後、180日以内」は短すぎるので延長すべきだ。

 ▽江橋崇・法政大教授 国民投票法については衆参両院の審議の足並みをそろえる必要がある。参院の審議が進んだ段階で両院合同審査会を開いてはどうか。改憲作業に入る是非や国家の存立基礎にかかわる重要課題を問う国民投票は、付則で今後3年間で検討すべき最重要課題の一つと位置づけてほしい。仮に北方領土問題で2島返還などで合意する場合、国民の判断を求めるべきだ。語句修正の場合でも国民投票が求められている今の憲法改正方式を再検討してほしい。国会が作成した改正案の承認を問う国民投票制である以上、白票は無効票として扱うべきだ。

 ▽本田雅俊・政策研究大学院大助教授 憲法で定めながらこれまで国民投票法がなかったことは立法不作為だ。ただ、与党案を多数決で可決、成立させることは今後の憲法改正作業に支障を来す恐れもあり、最後まで合意形成を目指し、国会主導による検討作業を進めてほしい。憲法審査会を設けて改憲原案発議の実質的権限を与えることは従来の議案審議原則を変えることから、議会制度協議会などで十分議論し位置付けを明確化すべきだ。一般的国民投票は、議会制民主主義の根幹にかかわる重大な問題だ。慎重な検討を要する。公務員の地位利用禁止規定は必要だ。

 ▽山花郁夫・JPU総合研究所特別研究員 一般的な国民投票法は国会を拘束するとの議論があるが、法的拘束力とは質的に異なり、事実上の拘束力で国会議員の役割がおかしくなるとの話にはならない。憲法では代表制民主主義が原則だが、最高裁判事の国民審査のように直接民主主義を補完的に組み合わせている。世論調査でも大事なことは直接決めたいと答える人が多い。声を聞く仕組みを検討してほしい。諮問的な投票だからこそ結果を見て判断できる。ただ、テーマを絞らないと政治が無責任になる恐れがある。国会が全会一致でないと(国民投票を)発議できないなどとすることも一案だ。

 ▽高田健・国際経済研究所代表 最初から出口が決まっている議論になっていないか。安倍晋三首相が在任中の憲法改正や参院選で憲法問題を争点にすることを言明し、改憲手続き法案を今国会で成立させてほしいと言っており、議論には極めて適切ではない状況だ。3権分立の面から残念に思う。国民投票法案は有権者が憲法改正を自分の課題と考えるような状況になれば必要かもしれないが、現在は時期として適当でない。なぜ急ぐのか。国民投票運動の期間、公務員や教員の運動制限、最低投票率の問題など、多くの論点についてもっと詰める必要が今こそある。慎重審議をお願いしたい。(初版:3月22日20時43分)



詳細は「衆議院」のHP「日本国憲法に関する調査特別委員会・憲法調査会」の「会議日誌」の「日本国憲法に関する調査特別委員会公聴会
【2007.03.24 Saturday 18:43】 author : 杉篁庵主人
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